中央テレビ編集
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自治随想
Z世代、α世代へ、温故知新の襷リレー⑤ |
その五、Z(1997~2012)&α(2013~)世代へ「理論と実像」を繋ぐ 「日本の未来への障壁は何か」。少子高齢化、地方行政の破綻、大不況、国際情勢、そして第四次産業革命(ロボット・ドローン、自動運転、ビックデーターによる変化)によって社会変化がどう変わっていくのか、人間のする仕事が大幅に減り大抵のことは自動化するのではないか等々私のようなアナログ男には直ちに理解できない。更に極言する人は「2045年にはAI(人工知能)が人間の能力を凌駕する」という。今、元気に身の回りや国内外の変貌に驚き不安を感じながら過ごす2020年代こそ、日本の転換期・危機の前触れと考え対応すべきでないかと思える。高齢化、少子化による人口減少、地方の過疎化、稲作放棄、深刻な空き家激増、団塊世代2025年全員後期高齢者、年金・医療費支出増大等々。国際的にも伸び悩む世界経済、資源・食料の過剰供給気味など輸入国には有難い面もあるが全体的には経済を冷え込ませないか。明治維新,戦後改革、と官僚主導で築いた東京一極集中はじめ多くの成果は逆に弱点となりかねない。 明治103年に当たる昭和46年開催の大阪万博は「人類の進歩と調和」をテーマに「規格大量生産を実現した日本」を世界に誇示し来場者6422万人、192億円の黒字となる。この年4月に小松島市議初当選の私は、大学時代の東京OPに次ぐ160年以上の歴史ある国際行事を訪れシンボル太陽の塔に見入る。来年2025年開催の大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。大切なコンセプトは「第4次産業革命を成し遂げた日本」であって欲しいし、その革命がロボットとドローン、自動運転、ビックデーターやAIの発達による技術革新によって、人類の志向が深まり楽しみが広がる新しい社会変化をもたらす次世代への襷リレーであって欲しいと、そんな期待が溢れる。 2024年(令和4)5月第6次環境基本計画が閣議決定、1次計画から30年間地球の環境は良くなったかどうか。新計画によると地球は「三つの危機」に直面、第1に気候変動、世界の年平均気温は観測史上最高を更新する「地球沸騰化」の時代に入り、産業革命前よりも1・45度上昇、パリ協定の抑制目標1・5度は確実に超えそうだ。世界経済が大きくなればなるほど、化石燃料の消費と二酸化炭素の排出が増え、この傾向は人が物質的な豊かさを求める限り続く。第2の危機は生物多様性の損失、それは人間活動が原因で過去の大絶滅よりスピードが速い第6の大量絶滅時代を迎えるという。第3の危機は汚染、特に近年は捨てられたプラスチックや汚染が深刻化する。地球はもはや人類の活動を支えられない、だが環境問題を解決しようとする国際的な勢いは衰える一方だ。環境省は「環境政策を起点とし今までの資本主義が抱える経済社会的な様々な課題を同時に解決し、政府が目指す新しい資本主義の具現化を図る」とし、自ら発表した6次計画では「地球の環境収容力を守りながら経済社会を成長・発展させる循環共生型社会に変わるべきだ」とするが、これでは実現は期待薄で「失われた40年」を迎えるだろうと危惧される。現場に学び、現実対応・処理・支援体制こそ明確にすべきであろう。その一方、選挙のあり方、政治資金規正法の改正など政治とカネの問題が未解決、随分長い政治改革期間でも何故改革できないのか。この政治不信を確実に改革する為には、民主主義の根幹を思い、実学の素を養う、自立協同、日新日進、信なくば立たず、といった基本に立ち返える必要がある。 2024年七夕選挙の東京都知事選挙56名の立候補掲示板を現認し呆れ返った。2020年代の危機を乗り越えるために、戦中派世代はZ・α世代へ安全で楽しい日本を創る温故知新の襷を繋ぎたいものである。(2024、7、7都知事選開票) さらば、お任せ政治 マニフェスト(政権公約)が拓く「地方自治の可能性」を着実に実践したい。 互いに県会議員当時から親交のある元三重県議・衆議院議員・三重県知事・現早稲田大学マニフェスト研究所北川正恭教授の主張「政策本位のマニフェスト型選挙によって、トップリーダーの理念に基づいて政治が動いていくミッションドライブを機能させ」、「政党や議員の都合で行う選挙から有権者による選択の選挙が始まった」(2005年総選挙)、更に「by・the・people」の政治が実現すれば有権者にも責任が問われ、ローカル・マニフェストで日本の民主主義を変革することができるというのだ。先駆的な各地の首長にとってマニフェストは強力なツール、選挙民との契約を後ろ盾に優先順位に基づく明確な意思決定や大胆な政策転換を実行できる。マニフェストに地域住民を巻き込むことで、その先に真の自治の姿が現れ、選挙に限らずマニフェスト作成や評価のプロセスまで公開することが重要となる。こうして国政に止まらず、否むしろ身近な地方自治だからこそ機敏には反応し、ローカル・マニフェスト推進ネットワークが広がっていく。05年総選挙時の各政党マニフェスト:自民党(改革を止めるな)、公明党(日本を前へ。改革を前へ)、民主党(日本をあきらめない)、共産党(たしかな野党が必要です)、社民党(国民を見ずして、改革なし)、国民新党(民主主義と平和を守る羅針盤)、ローカル・マニフェスト推進首長連盟、ローカル・マニフェスト地方議員連盟、更に全国9ブロックローカル・マニフェスト推進ネットワークと拡大させ、選挙制度や生活活動の改善を追求している。 マニフェスト(政権公約)選挙で日本の民主主義を変革 マニフェストは、これまでの曖昧なスローガン的公約ではなく、体系だった事後検証可能な政策、つまり、P(企画・策定・公開)からD(実施・検証)し、次の計画(Action)に繋げていく政策であるので、選ばれる政治家・政党も、選んだ有権者も双方向に責任が問われることになる。2005年自民党対象の総選挙の後11月に、ローカル・マニフェスト推進首長連盟、地方議員連盟、推進ネットワーク・ローカルマニュフェストの3団体合同大会において、相互検証・善政競争、全国の参考事例等を研究しお互い刺激し合って高いレベルを目標とする。善い意味で互いに競争し、刺激し合って政策中心のマニフェスト選挙を行い日本の民主主義を着実に変革できればと期待し着実な実践を目指したい。 第2次トランプ米政権始動(25、1、20) アメリカファーストを掲げ、パリ協定(気候変動対策の国際枠組み)再離脱、世界保健機関(WHO)脱退、化石燃料増産、関税を課す、不法移民流入阻止等々の大統領令や覚書を連発、国際協調を目指した前政権の政策を大転換、米国の黄金時代を示す。国の内外に米国第一主義を振り回し、この国が重んじてきた価値観の多様性、公平性、銃や平等、友愛といった母国の民主主義精神にも背を向けかねない宣言か、また「常識の改革」は何でもありか、と指摘する向きもある。「デモクラシーの帝国」と呼ばれた米国の議会襲撃やトランプ氏暗殺未遂事件は民主主義の劣化を印象付け、ロシアや中国の「失地回復(レコンキスタ)を後押ししそうだ。アメリカンデモクラシー再生の声も上がってくる。国際協調路線や経済・外交面における日本ならではの対応が期待されることになる。 (徳島文理大学総合政策学研究科前教授 西川 政善) |