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中央テレビ編集 


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☆;新しい年が始まって1ケ月が過ぎようとしています。生成AI活用に明け暮れた昨年でしたが、本年も引き続きの時間を過ごしております。今月号では、この1月17日に行ったセミナーの内容を紹介させていただきます。  
具体的には、徳島県自動車整備振興会阿南支部の新年会での、年頭のセミナーでの講演を依頼されました。セミナーというと、多分に漏れず、パワーポイント&プロジェクタ活用ということになるのですが、新年会の前座ということもあり、それらの手段・機器を使わずに、口頭による講演という形式の選択肢を選んだものです。  
では、何を主張するのか?やや、悩んだものですが、私がかねてより訴えている、「生成AIとの壁打ち」による自己確認・資料収集の実現・デモンストレーションを行うことを考えました。 但し、単なる会話に終始するのでなく、自動車整備という事業経営者の皆様の経営に役立てることが命題となったのです。用意したのは、以下のA4縦形のレジメ1枚としました。


内容も含めて紹介したいと思います。

1;自己紹介

筆者は、HALという名前で活動しています。
この名称は、映画 2001年宇宙の旅 に登場する人工知能「HAL9000」から採用しました。
人を支配する存在ではなく、人の思考を補助し、問いを投げかける存在としてのAI像に共感したことが、その理由です。

また、活動の軸となる言葉として、
「愛と勇気と、少々のお金」 という表現を用いています。
これは、チャールズ・チャップリン の言葉に着想を得たもので、
理念や気持ちだけでなく、現実を支える経済的な裏付けも含めて物事を考える姿勢を示すものです。

これまで、地域の中小企業や個人事業者を中心に、経営や事業づくりの支援に携わってきました。
近年は、こうした支援の現場に生成AIを取り入れ、
一人で考え込まず、AIを思考の補助役として活用しながら、事業整理や計画づくりを行う手法を試みています。

なお、経歴や活動内容の詳細については、本文中では簡潔に留め、
QRコード先の簡便なサイトに整理しました。
本コラムは、その活動の延長として、実務の現場で得た気づきや考え方を紹介するものです。

2;車両関連ビジネスについて

・特徴は?

徳島県阿南市以南における自動車整備業界の現状と将来性について、事前調査を踏まえて整理しました。この地域は公共交通機関が限定的で、自動車が生活・産業の基盤を支える重要なインフラとなっています。一方で、整備工場は事業者数が多く、市場規模が限られる中で、1工場あたりの担当台数や収益性には地域差が見られます。

近年は、整備士の高齢化や人材不足に加え、ADAS対応の「特定整備」やEV・HV整備への設備投資負担が、小規模事業者にとって大きな課題となっています。さらに人口減少により、中長期的には整備需要の縮小も避けられません。

その一方で、高規格道路の整備や高齢化社会の進展は、商用車整備や高齢者モビリティ支援など、新たな役割を整備業に求めています。単なる修理業にとどまらず、地域に密着した「車の健康を支える存在」として、技術対応力と経営の視点をどう両立させるかが、今後の持続性を左右する重要なテーマであると位置づけました。

・中小企業施策の中ではどんな施策があるのでしょう?

自動車整備業界を取り巻く環境変化に対しては、国・自治体による各種支援施策の活用が重要な選択肢となっています。とくに、設備更新やデジタル化への対応を目的とした補助金制度は、小規模整備事業者にとって有効な手段です。代表的なものとしては、業務効率化や省力化投資を対象とした補助金、デジタルツール導入を支援するIT関連施策、事業再構築や新分野対応を後押しする制度などが挙げられます。

また、人材確保や技能承継の観点では、雇用関連助成金や人材育成支援制度も活用余地があります。特定整備への対応や新技術習得に関する研修支援は、今後の競争力維持に直結する要素です。加えて、金融機関や支援機関による伴走支援、経営相談、専門家派遣制度を組み合わせることで、単発の補助金活用に終わらない持続的な改善が可能となります。

本コラムでは、こうした施策を「申請すること」自体を目的とするのではなく、自社の経営課題や将来像を整理する手段として位置づけ、実務にどう結びつけるかを考える視点が重要であることを示しました。

3;壁打ち作業を行いましょう。

業界動向や支援施策については、講師の話を聞くだけで理解したつもりになりがちです。しかし重要なのは、その情報を自分の事業にどう当てはめ、どう判断するかです。そこで有効なのが、生成AIとの対話、いわゆる「壁打ち」です。疑問点を投げかけ、条件を変えて考え直し、整理し直す。この繰り返しにより、情報は知識から判断材料へと変わります。生成AIは答えを与える存在ではなく、考える過程を支える相棒として活用することが重要です。

壁打ち作業はパソコンで行うもの、というイメージを持たれがちですが、近年はスマートフォンアプリを活用した音声対話も実用段階に入っています。例えば、ChatGPT のスマホアプリでは、移動中や隙間時間でも音声で問いを投げ、考えを整理することができます。また、Google Gemini も音声入力に対応しており、検索と対話を組み合わせた壁打ちが可能です。机に向かわずとも思考を深められる点は、忙しい事業者にとって大きな利点といえるでしょう。


4;具体的に施策を活用するには?

中小企業支援法においては、地域における中小企業支援の担い手として、商工会議所や商工会が「地域中小企業支援機関」として位置づけられています。補助金や支援施策を活用する際、制度や要件をインターネットで調べ、自らの考えを整理することは重要な第一歩ですが、それだけで実務が完結するわけではありません。

実際の事業内容や経営課題を踏まえた支援を受けるためには、地域の支援機関に足を運び、対面で相談することが欠かせません。阿南市内には、阿南商工会議所、羽ノ浦町商工会、**那賀川町商工会**といった身近な相談窓口が存在しています。

これらの機関では、施策の紹介にとどまらず、事業者の現状整理や今後の方向性について、伴走型の相談支援を受けることができます。生成AIによる壁打ちで思考を整理したうえで、実際の支援機関に相談を持ち込むことで、自らの考えと制度運用の現実とをすり合わせることが可能となります。施策活用は机上で完結するものではなく、地域の支援資源を実際に使い切る姿勢が重要であることを、改めて強調しておきたいと思います。

☆;今月のまとめと今後

今回の講演と本コラムを通じて、改めて感じたのは、情報を「伝えること」と「伝わること」の間には、想像以上の隔たりがあるという点です。業界動向や支援施策、生成AIの可能性については、自分なりに整理して伝えたつもりでも、受け手の立場や日々の業務状況によって、受け取り方は大きく異なります。この点については、今後さらに噛み砕いた表現や具体例を工夫していく必要があると反省しています。

一方で、生成AIを壁打ちの相手として活用し、自ら考え、行動につなげようとする姿勢には、確かな手応えも感じました。今後は、AIと地域の支援機関を併用しながら、現場に根ざした実践的な支援の形を模索し続けていきたいと考えています。