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中央テレビ編集 


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  このコラムは、IT,ICT,AIなどの話題を中心としてそれらが与える社会への影響を肯定的なものとして出稿を続けてきました。しかしながら、必ずしも私達、一般の市民にとっては、素晴らしいことだけではないようです。今月は、IT,ICT,AIそのものではなく、それらを活用する人間サイドの問題点などの実例を紹介してみたいと思います。

◆ 一番に紹介するのは、世間、一般に云われる似非サイドと疑われているものを紹介します。

 
デリケートな話題でもあり、仰々しい紹介の仕方ですが、もし、このサイトの関係者の方に迷惑をかけていた場合は、御詫びをしたいと思います。申し出ていただければ対応したいと思います。尚、URLは、リンク化しておりません。若し、アクセスされる方は自己責任にてお願いします。私自身は、アクセスしましたが、それ以上の作業は行っておりません。
 出稿の経緯は、私の友人の一人がこのサイトでの仮想通貨取引を行っていたものの、最終的には出金されなくなったとのことです。取引詳細にはあえて触れません。読者の方との情報共有が可能なレベルに留めたいと思います。






 相談を受けた私は、検索系生成AIサービスに調査を依頼しました。以下が、検索結果です。

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結論:「ripple-covery.com」 は Ripple を名乗る“投資/エアドロップ”系の詐欺サイトである可能性が極めて高いです。第三者の検査サイトでもドメイン年齢が極端に新しく(2025/5/31登録)・暗号資産サービスを装う高リスクサイトとして低評価になっています。公式ドメイン ripple.com とは無関係です。ScamAdviser
Ripple(公式)も「怪しいリンクを踏まない/Rippleや役員がXRPの送金を求めることはない」と繰り返し注意喚起しています。Ripple+1
いますぐ取るべき対処
1. 触れない・接続しない・入力しない
 ウォレット接続、シードフレーズ/秘密鍵入力、入金は絶対にしないでください。Ripple
2. もし操作してしまったら
 - シードや秘密鍵を入力→新しいウォレットを作り資金を即時退避(可能ならハードウェアウォレットへ)。
• 取引所のID/パスワードを使った→パスワード変更・2段階認証の有効化。
• 不審な拡張機能を入れた→削除してマルウェアスキャン。 (これらは一般的な被害最小化手順です)
3. 通報・相談先(日本)  
 - フィッシング対策協議会:Webフォームで通報。アンチフィッシング
 - 警察庁サイバー窓口(オンライン受付/各都道府県の相談先)。警察庁+1
 - 消費者ホットライン「188(いやや)」:被害や勧誘の相談。中央アジア調査機構
見分けのポイント(今回のサイトにも当てはまる兆候)
• 公式を装う似せドメイン(hyphen入りや妙な綴り)。
開設まもないドメイン/運営者情報が不透明。ScamAdviser
• 「安全・確実」「高利回り」「著名企業(Ripple/Bitfarms等)の名義」を並記して信用させる表現。Ripple関連のなりすまし詐欺が頻発している事実。Reuters+1

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 生成AIの回答としては、かなり踏み込んだ表現です。自分自身とは無縁の世界と思っていたのですが、一挙にリアリティある経験となりました。このコラムの話題としては、そぐわない可能性もややありますが、あえて話題としました。投資手法リテラシ向上に努めたいと思っております。

◆ 二番目に紹介するのは、生成AI関連事業のIPO関連問題です。

 次図は、ある企業の株価推移です。昨年10月に上場され、今年8月31日に上場廃止に至ったということです。24年10月上場時の公開価格(540円)、公開時価総額(180億円)取引最終日の終値は5円、時価総額は1億8100万円。つまり、公開時より資産価値が100分の1になってしまったということです。当社の社名は(株)オルツ。連日、不正会計、循環取引による売上高架空計上、民事再生法などの話題がジャーナリズム界隈で持ち切りの会社です。


 監査法人などの責任を問う民事訴訟なども提起されているようです。
 それらの問題は徐々に明らかになっているようですが、少々、IT的観点で評価してみたいと思います。
 当社のビジネスを整理すると;

• AI GIJIROKU(AI議事録): 会議の音声を高精度で文字起こしし、要約まで生成するサービスです。多言語での同時翻訳にも対応。
• パーソナル人工知能(P.A.I.): 「デジタルクローン」や「AIクローン」の作成を通じて、人の非生産的労働からの解放を目指す。
• AIソリューション: 自社開発の音声認識や大規模言語モデル(LHTM)などのAI技術をAPI経由で提供し、他社システムのAI化を支援。
• AIエージェント開発: 生成AIやデータ分析を活用し、顧客のビジネス課題を解決するためのAIエージェントの開発ソリューションを提供。

 議事録作成AIサービスは、多くの企業が取り組んでいます。当社の製品説明からするとZOOM連携が前提となっている印象があります。議事録作成のネックは発言者の特定が難しいということです。ZOOM自体に「誰の発言」「文字起こし機能」が付随している、或いは、一般的な音声認識機能があれば実現出来るという印象があります。多言語対応についても一般に流通しているブラウザ系でも対応可能なのでは?という疑問があります。
 パーソナル人口機能は、目新しい印象がありますが、研究開発途上のようです。AIソリューション、AIエージェント開発が充実すれば結果的に実現できるものという機能ではないでしょうか?
 要するに、一見、目新しさはあるものの、それほど顧客訴求力があるサービスではないという印象です。AI活用ビジネスとして、有料課金まで行って利用する必要性があるのか疑問です。報道によれば、売上高の9割が架空計上であり、上場前の2021年より継続されていたとのことです。一度付いた嘘は、嘘を呼ぶということでしょう。
 「AIだから伸びる」という印象だけでの投資は避けるべき。というのが、結論です。AIサービスの中身についての洞察が必要なのでしょう。上場審査にも問題がありそうですが、お金の世界の闇を見た思いです。今後もこの問題のフォローを続けていきますので宜しくお願いします。

◆ 三番目に紹介するのは、インターネットサーバー自宅賃貸関連事業の話です。

 約20年程度前のことです。日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞などのメジャー誌に、次図のような広告が繰り返し、掲載されていました。テレビ放映は見ておりません。その頃は、このコラムの前身の「徳島エコノミージャーナル」への連載を開始してから5年程度の経過時点でした。iPhoneが普及し始める直前の頃でした。
 この広告の主旨は、自宅に物理的サーバー機器を設置して(当然、買取・投資です。)運用サービス事業者に利用させ、収益を受けるという仕組みでした。


「こんなサービスが成立するの?」
「そもそも、物理サーバを自宅に置いて運用維持が出来るの?」
「メジャー新聞で広告されているから大丈夫かも?」
などと考えた記憶があります。
 結局は、この商法は、販売預託商法の一種であり、事業者が商品を販売すると同時に、その商品を預かり、運用することで高額な配当金やレンタル料を支払うと約束して資金を集める商法です。「オーナー商法」とも呼ばれます。実際には、運用実態が殆どなく、自転車操業に陥り、最終的に破綻して多額の被害を出してしまうのです。
 実際、近未来通信社の「IP電話中継局オーナー制度」は、実態を伴わない詐欺的なビジネスでした。2006年12月4日、警視庁は近未来通信社の本社や支店などを詐欺容疑で家宅捜索しました。この事件では、約3,000人の被害者から約400億円もの資金が集められたとされています。被害者の多くは、年金生活者など、将来への不安から退職金などの貯蓄を投じていました。一人あたりの被害額は、加盟金などを含め最低約1,100万円に上ると言われています。2009年11月には、詐欺容疑で元専務や元常務を含む元幹部6人が逮捕されました。創業者である石井優社長は国際手配され、現在も逃亡中とされています。
 現在の時点の目で見れば、このサーバーオーナー事業は、一見にして不自然なものであることが理解出来るでしょう。しかしながらインタネット普及期には、「目が眩む」ことがあったことは間違いないでしょう。

◆ まとめです。

 以上の事例は、人間という動物の不可解さ、闇の深さを示しています。現在、生成AIの普及期にあって、今後も、多くのサービス、投資手法が開発されて行くでしょう。中には「????」と思われるような事例も散見されます。しっかりとした視野を持ち、印象操作に惑わされることの無いように努めたいと思っております。
 大切なのは、これらの技術開発は人類全体の幸福に貢献することは間違いないのです。徒に、毛嫌いされることなく、情報収集に努めて下さい。このコラムがお役に立てることを祈っております。