中央テレビ編集
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◆新しい年度が始まります。GOOGLEの動きが気になります。
22年の11月より、ChatGPTを使い始めてより2年以上が経過しております。今年度も引き続きの路線を継承したいのですが、多くのサービスも増えており、業界の動きについて行けないという現象が出ております。可能な限り追跡しているのですが、自らの能力の限界も感じる日々を送っております。
過去、汎用機での開発経験もあるのですが、齢も重ねた老躯には新しい知識の吸収には限界もあるのかも知れません。但し、タスク処理、ジョブ自動化などについては、共通の処理概念です。
現在までの問題意識としては、以下のような経験を持っています。
ある無料のAIツールを利用していた時の経験なのですが、出力文に対して、再度、深堀を求めたところ、全く別個の会話とは無関係と思われる回答をされることが多々あったのです。入力プロンプトの問題もありますが、所謂、対話処理が出来ていないということです。これらの現象の説明には二つの概念で理解しています。つまり;
① トランザクション
② セッション
です。①は、電文を送付し処理を行い返答を返す迄の処理です。②は、①が複数重なった人と機械の連続した対話処理のことを指します。最近はかなり改善されており、イライラ感は減ってはおりますが、プロンプトに不必要とも思われる記述をせねばならない等々のAIの限界とも思われる印象を持っていたものです。
そんな思いの中でGOOGLEのリリース記事を目にしました。要約すると、Googleの研究チームが発表した論文「Titans: Learning to Memorize at Test Time」は、長いシーケンスデータを効率的に処理するための新しいニューラルアーキテクチャ「Titans」を提案しています。このモデルは、短期的な依存関係を捉える注意機構と、長期的な履歴コンテキストを記憶する神経長期記憶モジュールを組み合わせています。
背景と課題;
従来のTransformerモデルは、全てのトークン間の依存関係を捉えるために注意機構を使用していますが、長いシーケンスを処理する際には計算コストとメモリ使用量が増大するという課題がありました。これに対し、Titansは注意機構と神経長期記憶モジュールを組み合わせることで、長いコンテキストウィンドウを効率的に処理し、高い性能を維持することを目指しています。
Titansのアーキテクチャ
Titansは、以下の3つの主要なコンポーネントで構成されています:
持続的記憶(Persistent Memory):タスク固有の知識を保持するための、入力に依存しない学習可能なパラメータ群です。これらは入力シーケンスの先頭に追加され、モデルがタスクに関連する情報を保持するのに役立ちます。
神経長期記憶モジュール(Neural Long-term Memory Module):過去の履歴コンテキストを学習し、記憶するモジュールです。新しい情報が入力されると、驚き度(Surprise Metric)に基づいて記憶を更新し、重要な情報を保持し続けます。 注意機構(Attention Mechanism):現在のコンテキストに焦点を当て、短期的な依存関係を捉えるために使用されます。
応用分野
Titansは、以下のような分野での応用が期待されています:
言語モデリング:長い文章やドキュメントの生成や理解において、長期的な依存関係を捉えることで、より一貫性のあるテキスト生成や高精度な理解が可能となります。
常識推論:長期間にわたる知識や文脈を保持し、複雑な推論を行うことで、より人間らしい理解と応答が期待できます。
ゲノミクス:長いDNAシーケンスの解析において、長期的なパターンや依存関係を捉えることで、より精度の高い解析が可能となります。
時系列予測:金融データやセンサーデータなどの長期的な時系列データの予測において、過去の長期的なトレンドやパターンを考慮することで、予測精度の向上が期待できます。
これらの特長により、TitansはTransformerや最新の線形リカレントモデルよりも効果的であり、特に長いシーケンスを扱うタスクにおいて高い性能を示しています。 ここで云うTransformerは、Googleの研究チームが2017年に発表したニューラルネットワークのアーキテクチャで、特に自然言語処理(NLP)において大きな成功を収めています。ChatGPTのTとは、このTransformerを指しているのです。Titansは、Transformerを超えるものと期待しても良いのであろうと判断しています。 これらの概念を理解するには、人間同士の会話に置き替えてみることとしております。例えば、認知症気味の人と会話した時によくある現象ですが、個々の返答は帰ってくるのですが、連続した対話処理が進まないことがあります。端的に言って、今までの会話の連続処理が出来なくなっているのです。つまり、今までの会話の内容を忘却されているのです。要するに、こんな現象を解消するのがTitansという技術なのであろうと理解しています。
更に長期記憶が可能になれば、一種の人格を持つように見えてきます。過去の会話を覚えているAIは不気味でもありますが、魅力的な世界が開けているのは間違いないでしょう。
抽象的な話ではありますが、いよいよシンギュラリティが見えてきているのです。今後とも、この動きに注目していきたいとおもいます。
◆ 具体的な話に戻ります。AIエージェントの紹介です。
オンライン処理を引合にして、継続的な会話処理が必須であること説明してきました。他方、そんな人間の正確な思考処理は抜きにして、人間の行動・思考を斟酌し、「自律的」に作業をしてくれるAIの姿も見えてくるのです。端的に言って、こんな処理をあるAIサービスに問うてみました。

50年以上前に卒業の母校です。プロンプト処理も何もしておりません。単純に聞いただけなのです。エージェントであれば、「どのような事を調べましょうか?」等の会話が必要なのであろうと思っております。数回の会話の上で何を行うのか?どんな形式で返事をするのか?文章のみで良いのか?指示者とAIの合意の上で作業開始に入るという手順としているのですが、自律的なAIはこのプロンプトで動くのです。
ユーザーからのタスクを受けて、以下の手順にて自律的な作業に入りました。

以下の報告書が得られたのです。上記のステップ13に相当します。やや、長くなりますが、母校に免じていただいて御覧ください。尚、文章形態はマークダウン形式としています。
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# 阿南工業高等専門学校に関する調査報告
## 概要
阿南工業高等専門学校(阿南高専)は、徳島県阿南市に位置する国立高等専門学校です。1963年(昭和38年)に設立され、実践的な技術者を育成する高等教育機関として、60年以上の歴史を持ちます。本報告書では、阿南高専の基本情報、歴史、教育プログラム、施設、特徴的な取り組みについてまとめています。
## 基本情報
### 所在地
〒774-0017 徳島県阿南市見能林町青木265
### 学科・プログラム構成
#### 本科コース(5年制)
- 機械コース
- 電気コース
- 情報コース
- 建設コース
- 化学コース
- 一般教養
#### 専攻科(2年制)
- 機械システムコース
- 電気電子情報コース
- 建設システムコース
- 応用化学コース
## 歴史
阿南工業高等専門学校は、昭和38年(1963年)に徳島県や地域産業界からの強い要望に応え、実践的技術者を養成する国立の高等教育機関として設立されました。
### 設立と初期の発展
- 昭和38年(1963年)4月1日:国立学校設置法の一部を改正する法律の施行により、機械工学科2学級、電気工学科1学級が設置され、阿南市の見能林公民館及び見能林中学校の一部を借用して発足
- 昭和38年4月20日:開校式並びに第1回入学式を挙行
- 昭和39年4月10日:新校舎竣工により阿南市見能林町青木265番地(現在地)へ移転
- 昭和42年4月1日:土木工学科(1学級)を増設
### 学科再編と近代化
- 平成元年4月1日:機械工学科(2学級)を機械工学科(1学級)と制御情報工学科(1学級)に改組
- 平成5年4月1日:土木工学科を建設システム工学科に改組
- 平成8年4月1日:専攻科(構造設計工学専攻、電気・制御システム工学専攻)を設置
- 平成14年4月1日:電気工学科を電気電子工学科に改称
- 平成16年4月1日:独立行政法人国立高等専門学校機構法により、独立行政法人国立高等専門学校機構が設置する阿南工業高等専門学校となる
- 平成26年4月1日:機械工学科、電気電子工学科、制御情報工学科及び建設システム工学科を創造技術工学科に改組
### 近年の発展
- 平成29年3月23日:創立50周年記念材料工学棟が竣工
- 平成31年4月1日:構造設計工学専攻・電気制御システム工学専攻を創造技術システム工学専攻に改組し、4コース制度を導入 - 令和6年3月20日:創立60周年記念行事を挙行
- 令和6年3月28日:明正寮4号館が竣工
## 施設と活動
### 主要施設
#### 図書館
- 蔵書検索システムを導入し、阿南高専が所蔵する資料を検索可能
- 定期的に企画展示を実施(例:「貸出0の本」「1年生おすすめ本」「恋愛本」など)
- ビブリオバトル(本の紹介コンテスト)の開催
- 阿南市立図書館との連携による出張貸出サービスの実施
- ラーニング・コモンズを設置
#### 明正寮(学生寮)
- 防災訓練の実施(火災避難訓練、津波避難訓練)
- 教養講座の開催(華道、茶道など)
- 英会話教室の開催
- 食育セミナーなどの特別講演会の実施
- 新入寮生歓迎イベントの開催
- 留学生との交流活動
#### 地域連携・テクノセンター
- 研究設備・機器の共用利用の促進
- 共同研究・受託研究・寄附金の受入
- 阿南高専科学技術振興会(旧ACTフェローシップ)の運営
- 技術相談の受付(機械・電気・情報・建設・化学など幅広い分野)
- 公開講座の開催
- 地域の活性化・産業の振興に貢献するための活動
### その他の施設・関連機関
- 学生相談室
- グローバル推進室
- キャリア支援室
- 技術部
- リサーチユニット
- 教育開発推進室
## 特徴的な取り組み
### 教育・研究活動
- 文部科学省「大学・高専機能強化支援事業(高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援)」に採択
- 令和7年度から既存の情報コースに加え、機械・電気・建設・化学の全コースに新たな情報プログラムを設置予定
- 地元企業と連携した先進的かつ実践的な高度情報教育の実施
- 「創造技術システム工学」プログラムが日本技術者教育認定機構(JABEE)の認定を受けている
### 地域貢献活動
- サイエンスと産業連携により地域課題解決にチャレンジするプラットホームの構築
- 阿南高専をハブとして阿南高専科学技術振興会会員と阿南高専研究者との連携
- 阿南高専学生参加による産学連携活動の推進
- 技術相談や公開講座を通じた地域貢献
### 国際交流
- 留学生の受入と交流活動の実施
- グローバル推進室による国際交流の促進
## まとめ
阿南工業高等専門学校は、1963年の設立以来、実践的な技術者教育を提供し続けてきた歴史ある高等教育機関です。機械、電気、情報、建設、化学の各分野における専門教育と、一般教養教育を組み合わせた5年一貫教育を特徴としています。また、専攻科を設置し、より高度な専門教育も提供しています。
近年では、高度情報専門人材の育成に力を入れており、令和7年度からは全コースに情報プログラムを設置する予定です。地域連携・テクノセンターを中心とした産学連携活動も活発に行われており、地域の技術発展に貢献しています。
学生寮(明正寮)では、防災訓練や教養講座など様々な活動が行われ、学生の人間形成にも力を入れています。図書館では、蔵書検索システムの導入や企画展示、ビブリオバトルの開催など、学生の学習環境の充実を図っています。
創立60周年を迎えた阿南高専は、これからも実践的技術者の育成と地域貢献を通じて、社会の発展に寄与していくことが期待されます。
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よく整理出来ています。列挙されている事項もファクトチエックもなされているようです。ここまで自律的に動いてくれれば、面倒な仕様書も必要なくタスクが進行していきます。有能な秘書役というべきでしょう。
このサービスはDEEPSEEKに続く中国発の話題の自律型AIエージェント「Manus」です。3月上旬にカットオーバーされておりウェイティングリストに登録していたものが、先日、使えるようになったので試しに使ってみたものです。

多くの技術者の皆さんの試用レポートもネット空間に見かけるようになりました。中国発のAIエージェントということで賛否両論ですが、無料でも活用できるということで、当面、活用させていただきます。
私の期待値としては、昨年来、チャレンジしていたネット検索、ファイル収集、ダウンロード、ファイル処理などの一連のジョブの自動化です。
一部パイソン言語の活用も前提としていましたが、このサービスを利用すれば、通常言語処理のみでの実現可能性も見えています。
以上、今後の課題ということになりますが、本年度も宜しくお願いします。