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Dr.板東のメディカルリサーチ No.242 (2026.2.1)
<超高齢 社会で増える 老衰が>

 近頃、日本人の死因が、超高齢社会と深く関係し変貌を遂げている。令和5〜6年には、多い順番にがん(悪性新生物)、心疾患、老衰、脳血管疾患(脳卒中)、肺炎となり、「老衰」が第3位まで順位を上げてきた。今回は年余にわたる医療の変化について触れてみたい。

<百年超 環境医療 激変中>
 本邦の死因は時代により異なり、生活環境や医学、高齢化などの要因が関わる。
 
1900~1940年代:第二次世界大戦後まで、肺炎・結核・胃腸炎等の感染症が主だった。公衆衛生の未発達で細菌感染が多く、乳幼児から高齢者まで命が奪われていた。
 
1950~1970年代:戦後、栄養状態や医療制度が改善されて感染症が減少し、生活習慣病や脳血管疾患、心疾患が増加してきた。当時、脳血管疾患が最も多かった。
 
1980~1990年代:生活習慣や加齢と関わる「がん」が最も多くなり、医療の進歩により脳卒中や心臓病が減少した。
 
2000年代以降:21世紀に入り日本は急速に高齢化し、85歳以上で明確な疾患がなく、老衰と診断されるケースが増えている。その理由は、医学・医療の発展で、多くの慢性疾患を長く管理できるようになったためであろう。筆者自身も、この傾向を臨床現場で感じることが少なくない。

<在宅や 介護施設で ケア多様>
 統計によると、総死亡者数約157万人の中で老衰は20万人(12%)を占めていた(2023)。現状の傾向が続けば、近いうちに「心臓病」を上回ると予想される。老衰が増えたのは医療が衰えたからではなく、医療が進歩し寿命が長くなったためだ。この状況は前向きでプラスに捉えられる。つまり、誰もが若い時期から身体を鍛え、心理的にもいろいろとチャレンジし、規則的な生活習慣を送れば、いろいろな疾病に陥る確率が減る。そうすると、老衰となる割合が高くなるだろう。上図で老衰が2位になり、将来ガンをある程度克服できて老衰が1位となったと仮定する。すると、「生涯健康を長く維持できる国民が多い」という状況になるかもしれない。
(板東浩、医学博士、糖尿病専門医)


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