「Are you human? (あなたは人間ですか)」 と、近い将来チェックされる時代が来るかも。いまAIの発展が進み、「Orb」というスキャン装置を紹介したい(図1)。これは球体型のデバ イスで、利用者が眼の虹彩(iris)をスキャンすると、独自の「iris code」(世界ID)を生成。目的は、その人物が「ロボットではなく特定の人間」と証明するためだ。
<近未来 識別AI エージェント>
何故、こんなことが必要なのか? 未来映画の世界が現実となり、AIエージェントがさらに高度化していく。すると、「本物の人間だけ」を識別する必要性が生じることに。虹彩スキャンで人間を確認し、暗号通貨を通じて報酬を与え、ネット上で「人間である」と証明する先鋭的なインフラを目指すという。このユニークな構想は、生成AI時代を牽引する起業家サム・アルトマン氏による。OpenAIの将来を見据えて既に数千万のユーザーを集め、この「Worldアプリ」は金融機能との連携も進行中。現在はプライバシーや倫理、法的課題のため賛否両論で、今後の展開は技術・規制・社会受容に左右されるだろう。
<オーブ(orb)とは 球体の意味 オービス(orbis)も>

そもそもorbとは球体や天体(太陽・月)を意味しており、比喩的に眼球や瞳なども表現する。一方、関連する言葉として、orbisは円や円周、輪、球体、世界を指す言葉で、中世・ルネサンス期には、地球や宇宙を象徴していた(図2、3)。
聞いたことがあると思われるが、オーブとは写真や映像に「光の球」が映り込む現象で、科学的には塵・水滴・昆虫・レンズの反射による光学現象と説明される。超心理学の 領域では、エネルギー体と解釈される(図4)。オービスとは警察の取り締まり等で、スピード測定器とカメラを組み合わせた速度 違反自動取締装置のことだ。
<小宇宙 スキャンで展開 大宇宙>
この機器がOrbと命名された背景を説明しよう。Orb とは触れられる球体をイメージ し、玉や宝珠(ほうじゅ、図5)などを含む。他方、orbis は世界や循環の円環をイメージし、地球や人生、宇宙の秩序を重視する。瞳のスキャナーは両者を含み、「物理的な球体(装置)+眼球(orb)+世界をつなぐ(orbis)」という多層的な意味合いが込められている。
AI技術は人の生活や哲学、価値観を激変させる。人体は小宇宙に例えられ、DNAは丸い螺旋構造だ。太陽系に含まれる地球や他の惑星は丸い軌道で公転し、地球は1年で1周する。同様に、太陽系も銀河系の中心を公転し、約2.5億年で1周。最近の報告で、地球上で発信された電波が宇宙の遠くまで到達していると判明し、宇宙人が地球の場所を特定できるという。AIは人間の友となり大宇宙への道しるべを開いてくれるのか?
はたまた、地球の支配者となりつつあるのだろうか?
(板東浩、医学博士、糖尿病専門医)
印刷用PDF
|
|