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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.240
<多面的 価値を活用 朝活(あさかつ)で>

 古くから「早起きは三文の得」と云われ、「朝活」は日本文化に深く根づいた知恵です。生活習慣や健康管理、社会変化を踏まえても、朝目覚めてからの3時間は、脳が最も効率よく働くゴールデンタイム。日々やり続けることが重要ですが、そのメリットが大いに期待されます。

★早起きの 鳥は虫を 捕まえる
 朝活とは起きる時間を早めに設定し、自分が好きで体が喜ぶことをルーティン化することです。英語の諺では“The early bird catches the worm (早起きの鳥は虫を捕まえる)と。早く行動することによって、良い機会や利益を得られます。航空チケットや研究会参加への「
早割」は「Early bird discount」と呼ばれてきました。
 また、“Early to bed, early to rise, makes a man healthy, wealthy and wise (早寝早起きは人を健康に、裕福に、そして賢くする)とも。早寝早起きの習慣は、多大な恩恵(健康、富、知恵)につながっていくことでしょう。

★起きてすぐ 朝日を浴びて 前向きに
 早朝は体内時計(サーカディアンリズム)がリセットされ、交感神経が適度に働き始めます。朝日を浴びると睡眠ホルモン・メラトニンが抑制され、セロトニンが分泌されるため、前向きな気分や集中力が高まることに。すると、ストレス軽減やうつ症状の改善、免疫機能の安定など、健康面にプラスの効果が期待されます。医学的にも理にかなっているのです。
 自己啓発の定番本「
5時起きクラブ」が有名です。早朝1時間を「20分ずつ運動・反省/瞑想・学び」に分ける「20/20/20方式」を続けます。そうすると、エネルギーや集中力、創造力を高められるとのことです。

★雑念が 少ない早朝 禅の道
 近年、欧米では「禅」の概念が注目され、アップル創業者スティーブ・ジョブズは「ZEN」の道を実践しました。東洋的概念を用いることにより、心身医学でも瞑想や
マインドフルネスが活用されています。特に雑念が少ない朝を「ひとり時間」に使い、自己対話や自己成長につなげられます。「夜の整え方から朝をつくる」や「朝によい縁を結ぶ」などの視点が、重要かもしれません。
 今や朝の時間を活かすのは世界的潮流です。早朝の運動や読書、瞑想を「
ライフスタイルの基盤」として位置づけ、教育現場でも早寝早起きを重視しています。文化・芸術にも有用で、静寂の中で絵画や書道、音楽などの活動は心を整え、創造性を高めます。また、スローライフの一環で、「スローモーニング」としてゆっくりコーヒーを飲む文化も定着することに。世界と比較すると、日本の「朝活」や「朝勝(あさかつ)」は、勤勉さと自己鍛錬を重んじる文化的背景が反映されている点が特徴的です。農耕社会で「日の出とともに始まる生活」は、日本人の勤勉さや規律を育んだ生活文化の核でした。
 「朝勝」は日常の僅かな時間を積み重ねることで、心身の健康や学習、仕事の質を高め人生の充実度を引き上げる「
日々の投資」と言えます。貴方もモーニングルーティンを楽しんでみませんか!
(板東浩、医学博士、糖尿病専門医)


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