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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.236
<全体の 視点で 総合診療は>

 「19番目のカルテ」とは? 心身全体や患者背景などを包括的にみる「総合診療」が注目されている。これまで家庭医療(FP)やプライマリ・ケア(PC)医学とも呼ばれてきたが、このたび、TV番組「病気ではなく、人を診る 19番目の新領域」として取り上げられた。

<人間は 臓器パーツの 集まりか?>
 まず、医療の歴史をごく簡単に。かつて、病める人全体を診て対応していた。たとえば痛むお腹に手をあてる治療から、「手当て」とも呼ばれている。その後、技術の発展により内科や外科に分かれ、次第に頭から足まで、人は各臓器別で診断や治療を受ける時代に。
 その懸念や反省から米国でFPやPCが誕生し、医学校でもFP講座が新設。私の師匠・日野原重明先生は日本にPCを紹介し発展させられた。小生も米国FPの臨床研修で学ぶ機会を得て、現在までPCに関わっている。

<大切な概念 ACCCA>
 TV番組では、細分化された専門領域で悩み「なんでも治せる」総合診療医(松本潤)に憧れる3年目の女性医師を、小芝風花さんが演じる。つまり、1-18番の各領域における知識や経験を有するため、あらゆる健康問題に対応できることに。彼女の迷いや言動は魅力的で的を得ており、その基盤となる脚本や演出が秀逸だ。
 総合診療(General Medicine)やPC医学において、基本となる概念が
ACCCAとして知られてきた。これは国際的にも重要で、小生は長年各国のPC医療をレポートし、このたびまとめることができた。

<これからは チーム医療で 指揮者役>
 オーケストラで指揮者が全体をまとめてより良い音楽を奏でるように、総合診療医がコーディネーターとして皆が協力し合い医療の幅を大きく広げてほしい。
 Primary とは主要な、重要なという意味合いだ。首相はprime minister、プリマドンナはprima(主役の) +donna(女性)となる。今後、患者中心とするチーム医療への期待が高まりをみせている。
(板東浩、医学博士、糖尿病専門医)


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