情報をどのように取得し、把握し、行動していくか? 現代において予測や判断は難しいが、氾濫する情報を正しく見極め役立てたいものだ。なお、「情報」という言葉の語 源には諸説があり、情けに報いるという解釈も魅力的に思われる。
<日曜日 夜はべらぼう 情報戦>
日曜日の夜、大河ドラマ「べらぼう」が注目されている。江戸時代、出版業界で一世を風靡した「蔦屋重三郎」(つたや じゅうざぶろう)の波乱万丈な人生を描く。浮世絵版画は絵師・彫師・摺師の共同制作で生まれ、企画・制作・販売を担ったのが版元である。吉原の地域活性化に役立つ出版物で情報を世に広め、敏腕プロデューサー、パブリッシャー、ディレクター、エディターの四役を担当した。図1は口上を述べる蔦屋重三郎が描かれ、左端の「蔦唐丸」は蔦重の狂歌師名を表す。
<商いの 真髄売り買い 世間よし>
NHKで放映されていた [特選! 時代劇] 「あきない世傳(せいでん) 金と銀」(12~2月)は、誠に秀逸だった 。原作は髙田郁さんの「あきない世傳 金と銀」(全13巻、累計300万部)。小芝風花さんが演じる主人公・幸(さち)が、奉公人から御寮さ ん(ごりょんさん、おかみさん)となり商家を繁栄させていくストーリーである。
情報は大切だが、利益のみを追求すると取り返しがつかない事態に。商いの神髄は「買うての幸い、売っての幸せ」となる。
これに社会への貢献性が伴ってこそ、良い商売と云えよう。「買い手よし、売り手よし、世間よし」という近江商人の「三方よし」が有名だ(図2)。彼らはみな熱心な仏教徒で、自分よりも周囲の人とともに利益を生み出すことを優先していた。経済分野で[win-win]が知られるが、さらに企業の社会的責任[Corporate
Social Responsibility(CSR)]も求められる。世界の指導者にも、広く社会にも配慮する「三方よし」のスピリットに沿って、判断してほしいと思う。
<どんな意味? 求めよさらば 与えられん>
商いに魅せられた幸は改革を助ける知恵がひらめきつつ、御寮人として絶え間なく努力していく。長年継続することで、物事が成就したのである。ここまでは東洋的な内容であり、次に西洋的な言葉を紹介したい。それは「求めよ、さらば与えられん」であり、長めのフレーズでは「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる」となる。このように、努力を続けることや、待つのではなく自分から積極的に挑戦する重要性が伝えらえてきた。
いまはインターネットでおおむね必要な情報が入手できる。先日のこと、興味深いエピソードがあった。翻訳サイトで「求めよ、さらば与えられん」を英訳する際、何度入力しても「Ask
and it will not be given to you」と、「与えられない」と訳されることに。実はこの文章には様々な意味が込められている。このようなこともあるため、得た情報については常に確認を怠らないようにしたいものである。
(板東浩、医学博士、糖尿病専門医)
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