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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.226
<我が国で 寿命の延伸 どう対応?>

 平均寿命が男性81.09年、女性87.14年になった(2024年発表、厚生労働省)。3年ぶりに若干延びたのは、昨年新型コロナ感染症による死者数の減少のためとされる。40年前(1983)と比較すると、男性6.89年、女性7.36年の延伸がみられた。

<良き時代 卒寿に至る 人多し>  
 ここで重要なポイントは、90歳を迎える人の割合だ(
図1)。90歳を「卒寿」と呼ぶのは、「卒」の略字「卆」=「九+十」になるため。その割合は男性26.0%、女性50.1%と、おおむね男性では4人に1人、女性で2人に1人となる。9月1日には厚生労働省から発表があり、わが国で100歳以上の高齢者は95119人と過去最多を記録した。内訳は女性が88%を占め、百寿者 (centenarian)と呼ばれている。

<より重要 健康寿命 延伸を>
 単に長い寿命を目指すのではなく、各個人における生活の質が充実した健康寿命(Quality of Life)を伸ばしたい。実際には男性で8年、女性で12年も短いのが現実である。高齢者の健康問題に対して、携わる人々の医療的・心理的・社会的にも円滑な対応が求められる(
図2)。

<将来は 寿命の短縮 あり得るか?>
 日本の平均寿命は世界の中でトップクラスに位置する。過去60年で、どれほど平均寿命が延びたのだろうか。諸外国の国々と比較してみてほしい(
図3)。
 この中で、特徴的な点にお気づきだろうか? 大国の米国(US)は1990年代から延伸が急に鈍り、2010年代から逆に短縮へ。主な原因はメタボリック症候群で、肥満+3高(高血圧、高血糖、高脂血症)により、動脈硬化が進む。脳、心、足の血管が詰まってしまう。
 肥満+過体重の人口比の推移で、米国、英国は驚くべき肥満率だ(
図4)。日本は現在大丈夫の様子だが、数十年後には、寿命が短縮化するかもしれない。あなたは、このような予想される問題をどのように受け止めるだろうか?
(板東浩、医学博士、https://www.pianomed.org/


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