私の専門は糖尿病や肥満、アンチエイジング医学、プライマリ・ケア医学などである。いずれも共通している大切な食事療法として 「糖質制限」が挙げられよう。健康を目指すため、以前から「糖質制限食物ピラミッド」を提唱してきた。
右図をみてほしい。つまり、糖質や果物、穀類はなるべく控え、逆に、毎日、豆類や乳製品、魚、肉、卵などの摂取を推奨したい。そして、毎日、水分を充分に摂取し、日々運動を続けるとよいだろう。
◆血糖を 急に上げない 工夫しよう
糖質の食物として、米やパン、うどん、麺類などを食べると、必ず血糖が上昇する。例えば、トーストの糖質量は約30g。食べると、健常人では血糖が約30mg/dL、2 型糖尿病なら約90mg/dLも上昇することに。また、血糖が上昇する速度が重要だ。糖質だけや液体の場合は速く、脂 肪や蛋白質が混合されていると遅くなる。血糖が急上昇しないように工夫してみよう。
◆逆転の 発想による 良い薬
糖尿病という名前の由来とは? かつて甘い匂いがする患者の尿に蟻が群がり、糖が尿に出る病いによる。1日4回検尿で、陽性か陰性か一喜一憂していた。ところが、逆転の発想で、意図的に糖を尿に出す優れた薬剤が登場。そのメカニズムとは? 1日尿量を約1.5 リッター(L)とすると、実は腎臓に1日150 Lの血液が流れ込み、濾過装置によって99%の水分と糖分が再吸収されている。この部分に働きかけて、水分と糖分を多く尿に出すというワケだ。

◆その仕組み 糖質制限と 共通だ
この薬は実際に使われてから、臨床効果が広く知られるように。体重が減り、血糖も血圧も低下し、腎臓と心臓にもプラスの作用がみられる。次第に多臓器に対する優れた利点が証明されており、考えようによっては、理想の薬となるかもしれない。
糖質制限とは、身体に悪影響を及ぼす糖質を身体に入れないこと。本剤は糖質を身体の外に出すため、両者が目指す方向性は同じ。糖質は身体に良くないとの認識が実は大切である。
(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/ )
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