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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.195
<いま重要 オーラルフレイル 100歳へ>

 いま日本では、誰もが健康長寿を目指すことができる時代になった。ヒトは自然経過として「老い」がある。ただし、健康→虚弱(フレイル)→要介護→要医療という流れを少しでも遅らせたい。ポイントは食欲低下→栄養低下→筋力低下→寝たきりという流れを止めること。最初のきっかけとして、口腔(oral)機能の虚弱(frail)がみられ、咀嚼、嚥下、発声の障害につながる。今回はオーラルフレイルについて触れてみたい。

健康に 長寿を目指す ポイントが
  健やかで充実した人生を歩むためには、3つの柱が必要とされる。つまり
1) 口腔機能:きちんと食べてバランスよく栄養を摂取、2) 身体活動:必要な筋肉を保持して自由に動く、3) 社会参加:仕事や余暇、ボランティア活動など社会と関わる。この3者には密接な関係がある。もし、口腔機能が低下すると、悪循環のサイクルに陥ってしまう(図1)。この中で、1)の基盤が十分であるからこそ、2)と3)が可能となる。あなたの場合、これらが良い循環サイクルになっているだろうか。 
 オーラルフレイルを簡単にチェックできる方法を
表1に示した。「はい」または「いいえ」の回答で点数を合計してみよう。4点以上であれば、オーラルフレイルの危険性が高いと判断される。

口腔の 機能落ちれば 悪循環
  いまチェックした
表1の項目についても、実は循環性がある。良い循環ではなく、働きが落ちていくと悪循環へ。堅い食物が噛めず、柔らかい物だけを食べることに。すると、さらに口腔機能が低下する(図2)。あなたの知り合いの高齢者でこのような方はいないだろうか。
 歴史を振り返ると、1989年に「8020運動」が始まった。これは80歳で20本以上の残存歯数を目指すという目標である。約30年後には、かつて1割未満だった割合が5割を超え、成功を収めた。その背景には、日々真面目に実践できる国民性があるだろう。

摂取から 栄養心身 負の連鎖
 食行動に問題が起こると、負の連鎖によってさまざまな機能が低下する。日本の保健医療介護のレベルは高い。適切な対応を毎日継続できれば、要介護状態を抑えられ、人々の意義深い人生へとつながっていくだろう。

(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/
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