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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.191
<経済を 発展させるは 人のため>

 いま新型コロナ感染症が収束に向かっており、今後多岐にわたる経済活動が回復してくると予想される。ちょうど大河ドラマ「青天を衝け」では、渋沢栄一氏が官から民へ転身し、実業界で活躍の場を広げていく。「日本資本主義の父」と称される氏が、当時、欧州で国の仕組みや経済を学び、日本初の「第一國立銀行」を設立した。これらの歴史が今の日本の基盤を固めたといえよう。今回は、経済を支える貨幣について触れてみたい。

◆歴史的 貨幣の変遷 意義深し
 貨幣の歴史について概説する。人々は本来物々交換で必要な物品を得ていた。ただ、重たくかさ張るものを持ち歩くのは大変。そこで、古代ギリシャ、現在のトルコ西部にあったリディア国では、紀元前670年貨幣としてコインが発明された。金73%、銀27%の合金「エレクトラム」で作り、ライオンの絵柄を刻印したのである。
 ローマ帝国のコンスタンティヌス帝は強大な帝国を再建(在位306~337年)し、「ソリドゥス金貨」を鋳造発行。帝国領の地中海全域で流通させ商業を活発化させた。なお米ドルを「$」と表記するのは、ラテン語で金貨を意味するソリドゥスの頭文字Sに由来する。
 その後、西暦1000年頃中国で紙幣が作られたようだ。時代は下り、米国で国立銀行システム(National Currency Act)が1863-64年に開始。しばらくの間交換価値を金に裏付けて金額を表す「金本位制(gold standard)」が続いたが、1933年に適用を終えた。
 いま世界中で種々の貨幣が使われ、国際的な経済活動が続いている。現代のトピックは「ビットコイン」。インターネットを介するため、専門家でも実態の把握は難しい。ただし、目的は利益・利潤の追求であり、本当に人間や社会のためにプラスとなるのかどうかは疑問であろう。

世の中に 悪い幹部の 3タイプ
 渋沢氏が高く評価される理由は、能力、行動力、自身のためではなく多くの人々の幸せを第一に考えていたことによる。ここで氏による興味深い話を紹介したい。適材適所といわれているが、世の中には不適切な人材なのに「会社の重役」を続けている人があり、渋沢氏の経験から3タイプがあるという。
 まずは
①名ばかり重役。自分が会社の役職を名乗りたいため、監査役や取締役、理事などに名前を連ねているタイプ。これはヒマつぶしの一つであり、考えは浅く、特に仕事も悪さもしないというものだ。次に②いい人だが手腕が全くない人。帳簿のチェックもできず、社員の能力や性質も判断できず、自身が関わっている企画や会社が窮地に陥っても気づかない。最後に③私腹を肥やすため会社を利用する人。目的はあくまで自分の利益なので、いろいろな策略を考える。偽装工作や情報操作によって詐欺行為や悪事を続けていく可能性がある。
 この3タイプの例で、あなたは何か思いあたることがあるだろうか? お金は世のため人のために活用してほしいと願う。

(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/

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