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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.186
<COVID Globalには Japan良し>

 コロナ禍(COVID-19)により世界は甚大な影響が長く続いている。国際的に膨大な研究が続けられてきた。筆者の専門はウイルス学ではないが、プライマリ・ケア医学、統合医療、疫学などの側面から数編の医学論文を報告している。今月は①諸外国と比較して日本の影響は軽度、②人々の生活に対する影響を数値で検討、という2点で話題を提供させて頂きたい。

◆客観的指標が 超過死亡率
 COVID-19の影響を各国間で比較するのは、国により統計方法が異なるため簡単ではない。その中で、最も客観的な指標として「超過死亡率」がある。これは前年の死亡数(従来の平均データ)より、今年の死亡数が増えた割合(厳密には予想値との差異)とほぼ説明できる。2021年1月下旬に国際的統計が発表され、2月に筆者が関連データをまとめ、3月に国際誌へ発表された。
 通常コロナ禍によって死亡者数が増える(超過)と予想されるが、日本では逆に15000人減少した。各国と比較すると、諸外国から日本が奇跡的だと評価されるのがわかる。また、日本では今まで年間死亡者数が18000人ずつ増えていたのだが、今年は9000人減少した。そのため、差し引き27000人の差異と計算できる。

◆生活の 変化数値で 考える
 コロナ禍で我々の生活は激変した。その研究について、カテゴリーに分けて数値を示し紹介したい。  
 1)
人間関係:恋人同士について、15%が結婚式を延期し、39%が式を早めたり披露宴をキャンセルしたりした。また、ステイホームにより、犬や猫など家庭で飼われるペットは前年より3.6万匹増え27万匹に至ったとされる。  
 2)
健康:睡眠時間は、20%の人々が短くなり、一方で10%の人が長くなった。2020年には、米国にあるフィットネスクラブの16%が閉鎖したようだ。健康保険に関する電話連絡が、1年前は0.16%、2020年は7.0%と40倍に増加したという。
 3)
時間:ジグソーパズルなど、時間を要するゲームに費やす時間が3倍になった。毎日4時間以上スマホゲームで遊ぶ5-12歳の子供は以前35%だったが、コロナ禍で77%に上昇。成人はコンピュータ画面を見る時間が10.1時間から13.5時間に増加、映画を見る時間は11時間と2倍に増加した。
 4)
家庭生活:4-7月は電気代の支出が10%増えた。小麦粉類の販売量が4倍になり料理時間が2倍に延長。5人中2人は経済的に余裕なく節約した。車の全走行距離は前年より13%低下した。 読者の方には、これらの結果を自身の場合と比較してみてほしい。何か参考になれば幸いである。

(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/

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