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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.183
<年表で 宇宙の歴史 概観す>

 私が好んでよく見ている科学特集番組がある。一つは医学番組の「人体」シリーズで医学・生物学領域だ。CGを駆使した素晴らしい映像で、いわゆる「小宇宙(micro-cosmos)」の機能がよくわかる。他方は「宇宙」シリーズで物理学・天文学の分野。宇宙や地球の「大宇宙(macro-cosmos)」について、最新研究の成果を解説してくれるものだ。こんなきっかけで宇宙に興味を持つ人もいるだろう。以前にロイド氏の『137億年の物語』の書籍や番組も秀逸だったことを思い出す。

◆物差しを変えて 地球全史見る
 関連書籍で、宇宙の成り立ちから近代史までが、一瞬で把握できる年表を発見した。横36cm縦103cmの大きさで、宇宙史、地質時代、人類史・氷河時代などの情報が、10段で示されたもの。最上段は150億年、最下段は200年のスケールとなっている。そのポイントとなる点を選び、
にまとめてみた。
 目の前に物差しを置いて見比べてほしい。あなたの1年が1ミリとすると、人の一生100年は10cmだ。2000倍すると、ホモサピエンスが登場した20万年前が200mに相当する。陸上競技場で言えば、あなたの一生はゴールにある白線幅の10cmで、200m後に新人類がいる。最初の猿人が700万年前であり7kmの距離、6500万年前、地球への巨大隕石衝突は65kmと遠くなることに。また、宇宙誕生の150億年は1500kmに相当し、日本列島の半分という気が遠くなるレベルにまで達する。

◆大陸は マグマが流れ 分裂し
 地球は生きている。古生代における大陸の推測図(5.4億年~2.6億年前)で大きな移動がみられ、中生代(2.2億年~9000万年前)における移動の状況を
に示した。この中でジュラ紀とは、有名な映画「ジュラシックパーク」で描かれたように、恐竜が栄え、温暖で降水量も多く、動植物が大型化した時期である。このような地球変動はなぜ起こるのか? 
 a)当初の理論「
プレートテクトニクス」(地球表層が7枚の硬い板に分かれ、相対的水平運動による)から、b)現在の理論「プルームテクトニクス」(マグマの対流的流れが大陸を合成し分裂させる)が有力となり、c)「核の液体部分の流れ」の3つが影響し合うとされる。
 コロナ渦中、年表から古代ロマンの世界を堪能するのもいいのではないだろうか。なお、本稿での情報は、清川昌一、他著.地球全史スーパー年表.日本地質学会,岩波書店2014によるもので、HP上のデータを用いた。

(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/
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