2021年、新年が到来した。世界ではCOVID-19の問題が続いてきており、ワクチンなど対応策が始まってきている。実は、この影響によって世界の人口動態が今後変化していく。先日、興味深い医学論文が一流誌に掲載された。他の資料も含め、将来の国際的な人口推計について触れてみたい。
◆日本では 80年後 半分に
まず、日本について、2020年1月1日の総人口の 構成を図1に示した。総人口は1.27億人、高齢者(65歳以上)が27.9%、人口の約3.6人に1人が65歳以上、高齢者と生産年齢人口(15~64歳)の比率、1対2.1である。若年2.1人が高齢者1人を支えていくことになる。このように、少子化が将来への大きな問題である。
次に、世界の中で、日本の人口は現在10番目に相当する(図2)。しかし、今後我が国の人口は急速に減少し、2100年にはわずか6000万人で、38番目まで下がるという(赤)。これほど減ってしまうとは驚きだ! 実際に、あなたの周囲を見 渡してほしい。両親の祖父母が計4人、両親が2人いて、自分の世代で一人っ子が多く、結婚も出生率も下がっていく。すると、80年後には、人口は半分以下まで劇的に少なくなってしまう。
一方、トップの3国に注目したい。中国、インド、米国の順位は1,3,4番目となる(緑)。2番目にナイジェリアが入ってきて、現在2.06億人が、7.91億人まで激増するようだ(青)。
◆関与するファクター あまりにも多い
このような変化の理由はどうしてだろうか? 病気、怪我、リスクファクター、教育、バースコントロール、インフラなどの複合原因が網目状に関わっているのだ。この点から、2100年における世界の人口ピラミッドはいくつかのタイプに予想されている(図3)。2017年の人口分布の形を黒色(a)、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goal, SDG)が理想的に進めば黄色の形(b) を示し、現在の日本の形に近いタイプを示す。逆に、SDGが非常にゆっくり進む場合、茶色の形(c)のように、子供の割合が高くなる。近い将来中部アフリカ(sub-Saharan Africa)の動向が世界を変えていくだろう。
以上から、国際的な人口問題に対しては、多岐にわたるファクターが関与する。医学や医療、福祉、公衆衛生、教育、政治、経済、社会の状況が複雑にからみあう。かつてのスペイン風邪や現在の新型コロナなどの勃発により、将来の推測が難しい。世界における今後の状況を注視していきたいと思う。
(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/ )
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