国際学会の出張の際、中央アジアを訪れることに。この地域には、〇〇〇スタンという名称の国々が並ぶ。その中で私が降り立ったのは、広い国土を 有するカザフスタンの大都市アルマティである。おおむね日本より10℃低い山岳気候が特徴だ。いろいろと調べても、日本人が来るのは稀であるらしい。
宿泊したのは街の中心に位置するホテルで、欧米の旅行者も少ない様子だ。スタッフは英語のone, two, threeという単語にも反応なし。私は言葉が通じないという状況には慣れていたが、身振り手振り+筆談によって、どうにか意思疎通ができた。

◆人々の胃袋 中央バザールで
ホテルのベランダから眺めると、遠くには、雪をかぶった山々が連なり、街には粉雪が舞っている。眼下には、緑色で大きな建物の「中央バザール」が。ここは、早朝から夜まで、多くの人々が毎日食材を求めて集まってくる市場である。入口の前の横断歩道は、一日中歩行者が渡っている状況だ。
これは、あたかも築地から移転した豊洲市場といえるだろうか。バザールの中は野菜、果物、乾物の3つが主である。他にチーズ、ソーセージ 、肉、パン、菓子もあり、隅には魚の店もみられた。2階には衣類もあった。 私は外国にいくと、地元の人とのコミュニケーションを楽しみにしている。そのため、しばしば騙されることも多い。ちょうどカラフルなスパイスに誘われて近づくと、愛想良く試食をどんどん薦められ、気がつくと袋が一杯になってしまうことに。これも旅の醍醐味であろう。
◆生活の 元気活気が 充満し
バザールの周辺を闊歩してわかったことは、間口が一間半で、日用品、電化製品、大工、左官、水道、鞄、靴、カーテン、絨毯など、あらゆるジャンルの店がひしめき合っていたこと。さらに、中央バザールの前には24時間営業の喫茶やレストランもあり、夜中に目覚めると客で賑わっていた。
このたび、市場巡りによって、当国の文化や食生活を少し体験できた。人々が朝早くから夜中まで働くこの市場には、元気や活気、やる気が充満しており、私自身の平和な日常に対して、刺激的なスパイスを得る旅となった。
(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed-world.net/ )
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