先日、国民の祝日「敬老の日」があった。厚生労働省の発表によると、わが国では「100歳以上7万人突破、49年連続、女性88%」という。1世紀は100年 (センチュリー)であり、100歳以上の長寿者を百寿者と呼ぶ(センテナリアン(centenarian)。全国の百寿者数は、昭和38年に153人、平成10年に1万人を、平成24年には5万人を超えた。30年前の平成元年と比べると、人数は23倍に増加した。
日本における130年間の平均寿命を図に示した。平均寿命とは、0歳の平均余命を意味する。今年生まれた0歳児は100年後、2人に1人が100歳を越えると計算されている。本当にそうなるのだろうか? しかし、人生100年時代が到来しつつある。
<健康な 寿命あなたは どれほどか?>
健やかな人生を考えると、ただ単に寿命が長いだけ(Length of life, LOL)ではなく、生活・生命・人生の質(Quality of
Life, QOL)が大切である。健康寿命とは、平均寿命から、おおむね不自由な生活を余儀なくされる年数を引き算したもの。つまり、日本の男性は82-9=73歳程度、女性87-12=75歳程度となる。
最新の医学論文を紹介しよう。男女7万人以上の研究で、楽観主義の人は寿命が1割以上延長しており、85歳を超える確率は女性が50%、男性で70%も高かった(Lee
et al. Proc Natl Acad Sci 2019)。どうも、楽観主義者は感情や行動をコントロールし、ストレスを受ける出来事からより上手 に立ち直るようだ。また、運動をする、たばこを吸わないなど、より健康的な習慣を持つ。
<常日頃 楽観主義で 良き人生>
さて、ドーナツの写真をみてほしい。はたして、あなたはどの部分に注意を向けただろうか。「楽観主義者はドーナツを見て,悲観主義者はその穴をみる」(The
optimist sees the doughnut, the pessimist sees the hole)という一流作家の語録が知られる。オスカー・ワイルド(Oscar
Wilde, 1854-1900)はアイルランド出身の作家、劇作家、詩人。医師の家系で生まれ、両親ともに文才に富 み、オックスフォード大学を首席で卒業。ヴィクトリア朝の英国で、才気溢れる世紀末のダンディ」として活躍したが波乱に満ちた人生を送った。
次に、半分水の入ったコップの図を見てほしい。おおむね、一般人は「半分しかない」、または「半分もある」のいずれかと判断するようだ。つまり、日頃の習慣により、物事は同じでもどう見てどう判断するかは、その人次第となる。あなたは、楽観的に陽気暮らしを心がけているだろうか?
(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/ )
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