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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.166
<予期できぬ 変化世界の 状況が>

 最近、国際状況に様々な変化がみられ、以前には予想されなかった事態なども起こる時代となった。誰もが懸念し先行きは不透明である。世界中で情報が行きかう中、気づくことに触れてみたい。
 情報とは何だろうか? 森鴎外が作った言葉とされ、情けに報いるという意味あいだ。お世話になった方にお役にたつお話をお持ちさせて頂く状況かもしれない。漢字で示して考えてみたい。「情」=心(心臓)+木(草木)+井(井桁の中の染料)であり、青く澄み切った心→澄み切った心、誠の心を意味している(図1)。「報」とは幸(手かせの象形)+又(手)+卩(ひざまずく)であり、手に手かせをはめている者を後ろからおさえる形→犯罪に対する報復的行為→「お返しする」「むくいる」を意味している。

情報に 含まれるインテリジェンス
 情報の定義は広範囲に及ぶ。自然科学分野では、物質やエネルギーにおける時間的・空間的・定性的・定量的な特徴を示す。何かの事柄が、発信者から受信者に送られると、意味がある存在となる。通常、記号や数字、言葉、思想、知識などが伝達されるため、コミュニケーションに近いものと考えるとよいだろう。
 情報は英語で何と訳されるか? 通常「インフォメーション」だが「インテリジェンス」も相当する。両者は似ているが全く違う。データを加えた関係性を図2に示した。インフォメーション例はNHKのニュース。いつどこで何が起こったか事実を述べ、二国間での関税や歴史問題の再発など内容を正確に伝えるだけ。一方、インテリジェンス例はニュース解説。専門家が事件を解説し、関連する歴史や経緯なども加える。詳細に分析し、数種のシミュレーションへの対応を提案できるレベルなら、中等度のインテリジェンスと判断されよう。


非合理な 主張対応難しい
 インテリジェンスの対応が難しいのは、非合理な主張である。本来、合理的とは理屈や(ことわり)に合うという意味で、誰もが納得できるもの。医学であれば、病気の理屈や理由を明らかにするのが病理学であり、医学の基本や基盤となる。ここがあやふやではどうにもならない。 世間に非合理な事柄がある一因として、自分に自信がなく、他人からの評価を気にして、「他己」評価に拘る場合がある。性格や利害関係、体調、機嫌、状況によって、各人にとって都合がよい方向性とは常に変わるのが普通である。いま、世界の状況はポピュリズムという感情で流されてしまう時代。評価とは常に流動的で絶対的なものはない。十分に調査し研究した上で、確固たる信念で行動してほしい。
 このような場合、冷静に分析してみたい。心理学の領域で、精神科医のバーンズ氏が提唱する「認知の歪み」という考え方がある。なかなか的を得た解釈で、概要を図3にまとめてみた。参考にされたい。


(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed-world.net/ )
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