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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.163
<統合的視野で 全体診る医療>

 世界には、最新の先端医学もあれば、様々な地域では伝統的な医療も存在する。換言すれば、通常の西洋医学(Western Medicine, WM)に補完代替医療(Complementary and Alternative Medicine, CAM)を加えたものを統合医療(Integrative Medicine, IM)と呼ぶ。Integrativeとは以前に注目された統合型リゾート(Integrated Resort、略称:IR)法案と同じ意味である。

数千年変わらぬ 患者への想い
 このたび、愛知医科大学病院 先制・統合医療包括センターの福沢嘉孝教授が国際学会を開催され、参加の機会を得た。本学は、緑豊かな広いキャンパスを有しており、気持ちよく歩いていると並木道の傍らに重要な石碑があることに気づいた(赤矢印)。これは「ヒポクラテス(Ιπποκράτης)の誓い」であり、医師たるものが遵守すべき基本的教えである。
 かつて、ギリシャのコス島で行われた国際学会に出席した際、私は小さな土産として「医学の父」の小さな像を購入し、今も大切にしている。医学や医療、AIが進化しても、医師の患者に対する心は変わることがない。

プレゼンで 3つの言語 活躍し
 今回のプログラムでは、いろいろなトピックスの研究成果が紹介され議論された。わが国における統合医療で広く認識されているものには、漢方や鍼灸、音楽療法、アロマセラピーなどが挙げられよう。私の発表は音楽療法や糖質制限法、運動療法に関するものであった。あらかじめ、パワーポイントのスライドに日本語、英語、中国語(簡体)の3言語で表記しておき、プレゼンは英語で行った。今までいろんな学会で発表する際には、聴衆に楽しんで頂くように心がけている。本学会の多くの発表では、同時通訳を含め、3カ国語が飛び交っていて医学や医療の内容が、相互に十分理解できるように配慮されていた。
 多くの発表の中で印象的だったのが、担がん患者に対する心理的治療やリハビリテーション、高体温療法、光療法、アロマセラピー、実践的な栄養供給法などが挙げられる。日本統合医療学会(Integrative Medicine Japan, IMJ)から、伊藤壽記理事長や赤木純児理事も参加されていた。近年わが国のIMJは国際の場でも評価されており、今後さらなる展開が期待されている。


(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/

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