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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.155
<抗加齢 医学を実践 マスターズ>

 小生の専門には、糖尿病や肥満、音楽療法、スポーツ医学などが含まれる。いろいろな活動の中で、今まで続けてきているのが「マスターズ陸上競技」だ。ここで大切なことがある。確かに練習を重ねて記録を目指す気持ちはわかる。しかし、無理をして身体を傷めてしまうのは避けたい。
 私は共同研究者と一緒に、怪我をしない練習法や走り方について、啓発活動を続けてきている。自身も年齢を考慮しながら、工夫をしたトレーニングを行ってきた。

鳥取で 末續選手が はやぶさに  
 2018年9月、マスターズ陸上の全国大会が鳥取で開催された。いつもとは違って、今回は参加者皆が驚き、そして注目するニュースをお伝えしたい。実は、オリンピックメダリストである末續慎吾(すえつぐ しんご)選手がこのたび参加くださり、M35(35~39歳男性)の枠で皆と一緒に走ってくれたのである(図中で矢印)。
 全日本大会で参加者が多いため、400mコースの手前と向こうの両方のコースで交互にレースを行っていく。その利点としては、いつもより倍の数のレースが行えること、また手前のコースでレース直前のため待機している選手は目の前で見えることが挙げられよう。私は運よく目の前で観戦でき、憧れの選手と話もできた。小学生みたいに嬉しいものだ。
 実は、末續選手は東海大学の高野進選手から指導を受けた。高野氏は日本人の体格を考慮し、「なんば」の動きを活用した走法を編み出した。この走法は我々も常に考えており、いわば両選手は我々の師匠である。言い方を変えてみると、我々は両選手の弟子となる?のかもしれない。

走り方 常に研究 継続し  
 マスターズ選手は誰もがスポーツを楽しみ、仲間との語らいを楽しみにしている。年に一度の全国大会では、久しぶりに出会える同世代の選手と競い会えるのが何とも面白い。レベルは確かに高く、いろんな動きを見ていて、学ばせて頂くことも多い。
 左図には、M60(60~64歳男子)における100mの前半のレースを示した。2コースが筆者(矢印)であり、いろいろと反省点が浮かび上がってくる。他の選手はおおむね横一線に並んでいるようだ。しかし、注意深くみると、それぞれに特徴的な動きが観察され、示唆に富むヒントが多く隠されている。今後も引き続き、研究を続けていきたい。


(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/
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