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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.150
<ニューエルダー 挑戦続く サンデー兆治>

日野原イズムが展開中
 4月中旬、105歳まで活躍された聖路加病院の日野原重明先生が設立した「新老人の会」で年1度のジャンボリーが開催され、私は喜び勇んで九州新幹線の鹿児島中央駅に降り立った。
 今もなお、日野原先生は国内外で益々影響が大きくなっている。つまり、ニューエルダー(new elder)という自覚を有し、豊かな創造力を持ち、新しい物事を創めていく姿勢が大切だ。健康とは、まったく身体に健康問題がないことではない。そんな人は周囲を見渡しても誰もいない。健やかな気持ちを持って、毎日ポジティブに生きていく人が「健康人」であるといえよう。

著書「人生に、引退なし」 
 ジャンボリー大会は、鹿児島支部の鹿島友義医師とプレーイングマネージャーの濱矢欣洋氏が数年間かけて準備してきた。特別講演は、ロッテの往年の名投手である村田兆治選手が「人生先発完投~人生に引退なし!常にチャレンジ!!~」についてお話され大いに盛り上がった。真っ向勝負を挑む「まさかり投法」や、手術後には日曜日毎の登板によって「サンデー兆治」として、すばらしい活躍は誰もが知っている。
 特に感銘を受けたのは、著書「人生に、引退なし」~65歳で140キロのストレートに挑む「肉体」と「心」の整え方にあるように、毎日コツコツと努力されていることだ。現役引退後には、全国の離島などを訪れ子供たちを指導し、全国離島少年野球大会を開催され、野球の普及に大きな役割を演じている。
 あるとき村田氏が「名球会」の投手たちと歓談した際に、不思議と皆が同意見になったことがあるという。つまり、勝ち星が増えない投手とは、マウンドからの光景だけしか見えてない投手という。一方、勝ち星を積み重ねていける投手は上空にも視点が存在し、全体を俯瞰するように、いろいろな角度から客観的に判断できるようだ。

全国金賞の吹奏楽部 
 この全体を把握できる能力は重要である。本ジャンボリー大会では、鹿児島情報高等学校吹奏楽部の素晴らしい演奏に感動した。創部4年という信じられない時期に全国吹奏楽コンクールで金賞を受賞し、米国カーネギーホールで日本の高校生代表として演奏し大絶賛の評価を受けたという実力が伝わってくる。それはなぜだろうか?
 おそらく、スポーツも音楽も同様で、楽員は他のパートを含み全体の総譜を理解しているからこそ、一流の演奏ができるからだろう。日野原イズムの継続で、高く幅広い角度から複眼視ができるようになるのではないかと思われる。


(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/
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