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クウェートで国際会議 プライマリ・ケア医学に関する国際組織として世界家庭医機構 (World Organization of Family Doctors, 略称WONCA)
で、定期的に学会が行われている。今回中東にあるクウェートで開催された大会に機会を得たので、少し報告させて頂きたい。
Kuwaitは石油産出国として知られており、経済的には豊かな国として知られる。今回の5th east Mediterranean WONCA
– Family Medicine Congressにおいて、いろいろな発表やワークショップがあり、そのテーマはTraining for excellence
in Family Medicine Practiceであった。
特徴としては講義やワークショップが多かった中で、印象的だった講演を示す。糖尿病の症例について提示した後、どんな状況か? 次は何を行うか? それはなぜか? 今後はどうする?と聴衆に問題提起し、意見を出させていく。答えは一つではなく、いろいろな回答が。皆で一緒に考える方法は斬新で秀逸だ。さすが、プライマリ・ケア医のエキスパートだった。 ◆糖質制限の発表
中東の地域はアラビア語圏内でもあり、言葉も慣習も共通している。経済レベルも高く、どうしても肥満気味の人も少なくない。ここで気づいたのは、男女ともに纏っている衣装についてである。オーダーメードの場合も多いと聞くが、もし太っても衣装を合わせ、気候も暑く、ゆったりとひらひらしており、ベルトをきつく締めることもなさそうだ。そのため、太ったことに気づかないのではないだろうか、次第に肥満や糖尿病に陥っていかないだろうかと、多少心配になった。
今回私は「肥満に対する「糖質制限(low carbohydrate diet, LCD)」の臨床研究について発表を行った。2699例に糖質制限を行った結果、体重が減った割合は、10%以上が25.6%、5%以上が32.0%であり、合計対象者の57.6%で体重の5%以上の減量がみられたと報告した。また、中性脂肪など脂質にも著明な効果がみられ、従来のダイエットと比較して、有効性に優れていた。実際には、お腹が空いたときには、糖質以外であれば何を食べても大丈夫であり、理論的に現実的にも成功を収める確率が高い。