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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.147
<勝利には 工夫と努力 チームワーク>

もうすぐ冬季五輪
 2月中旬から、韓国のピョンチャンで冬季オリンピックが始まる。いま、いろいろなニュースが発信され、盛り上がってきたところだ。特に、アイススケートのスピードでは、女子の短距離陣の活躍に加え、女子団体パシュートで日本チームが話題となっている。最近、滑るごとに世界新記録を連発し、驚くばかりだ。
 こんな素晴らしいニュースの報道で、スケートの魅力が広く知られることに。トップ選手はごく一握りだが、それを支えているのはアイススケートを愛する数多の老若男女の方々である。このようにいろいろな機会によってアイススケートの裾野が広がっていき、将来の発展につながっていく。

私も選手の一人 
 実は、私はアイススケートの選手でもあり、世話役でもある。41歳のとき、長野オリンピックで金メダリスト・清水宏保選手の滑走をみて感動。そして、標準記録を突破して1年後に徳島県代表として冬季国体に出場した。5年間出させて頂き、いずれも予選敗退だった。しかし、スケートの振興や発展に若干ながらプラスになったかもしれないと自負している。
 その後も、競技を続けてきた。写真1(著者は赤色、奥)では、友人から、スタート前が一番かっこいいと褒められた。写真2(著者は先頭)では、レース前半に私が先頭で引っ張ると、他の3名がとっても楽だから素晴らしい、と褒められたことも。とにかく、体力づくりではなく、健康づくりのため、アンチエイジングのため、足腰を強くするスケートや陸上などを皆さまにお勧めしている次第である。

トップ選手から学ぶ    
 それでは、話を戻そう。日本スピード女子はなぜこんな凄い記録を出せるのであろうか? 人生もスポーツもスケートも、すべてマルチファクターである。1)優秀なコーチや科学的トレーニングのお陰で、技術や体力、スピードが向上したこと、2)先頭選手がカーブで後続の選手と入れ替わる際、大きく膨らんでも速度を全く落とさない工夫や戦略が成功していること、3)3人の選手がぴったりと一糸乱れぬ体勢で滑走し、風圧を最小限にしていること、などが挙げられよう。
 これらが可能なのは、一緒に滑る選手たちの観察や判断、微調整が完璧であるため。なぜ、これが可能なのか? わが国の教育環境は優れており、子供の頃から周囲の人に対する気配り、目配り、心配りも自然に身についている。つまり、聖徳太子による「和を以って、貴しとする」哲学が、日常生活の中にも溶け込んでいるようだ。
 さらに、近年はトレーニング環境が整備され、コンピュータを活用して動作解析なども常に行われ、データ化されている。共に協力・工夫しながらお互いに研鑽していくことで個人の能力が飛躍的に伸びてきたといえよう。長年にわたる育成計画や先人たちの指導が、組み合わされることで、各スポーツ界の快進撃につながっているのかもしれない。
 参考となるのが、オリンピックの陸上男子400mリレーである。日本人選手4名の各タイムを合計した数値が諸外国のチームに劣っていても、バトンパスの技術を究極のレベルまで磨いたことで、メダリストとなった。以上を考えてみると、成功への道は、教育、頭脳、技術、工夫、努力、継続、協調、判断だろうか。言い換えると、知力、体力、継続、工夫、対応かもしれない。


(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/
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