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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.143
<これからの 医療は患者 中心に>

世界ではいろいろな医療が  

最近の医療について、日本や欧米で注目されているものが、統合医療(Integrative Medicine, IM)である。漢字をよくみると、総合ではなく統合となっているので注意されたい。ニュアンスとしては、いくつかを上手に組み合わせるという意味合いもあると考えると、理解しやすいだろう。すなわち、私たちが長年にわたりお世話になっている西洋医療(Western Medicine, WM)に代替補完医療(Complementary and Alternative Medicine, CAM)を加え、すべてを統合させたものといえよう。
 私はIMの四国支部のお世話を担当しており、毎年行われる研究会の論文集を発行してきた。このたびNo.10が完成し、興味ある27論文を編集することができた。引き続いて、全国大会が11月に開催されたので簡単に報告したい。

テーマは患者中心 
 日本統合医療学会(IMJ)の第21回学術総会は、東京有明医療大学の川島朗教授が大会長を担当された。学会ホームページで大会長挨拶が動画で発信されていたのは興味深い(図1)。当日は話題にもなっている豊洲駅から大学に向かうことに。地元では「医療大学ですね」と親しまれており、入口には学術大会の大きなポスターが貼られていた(図2)。
 本学会は20年以上の歴史を有し、まさに時代のニードもあり、発展しつつある。支部の数も増加しており、東北大学副学長を勤められた仁田新一理事長は、いままでの経緯と今後の展開について述べられた(図3)。かつて四国支部では、徳島大学の中屋豊教授が大会長を務められ、大成功に終えられたことがある。今後も、研究会活動や論文集の発行を継続していく予定である。

音楽療法がメインの施術    
 このたび私の役目は、四国支部の報告と音楽療法を含む口演発表の座長であった。秀逸な研究として、大阪大学他による「ハイレゾリューション音源自然環境音によるストレス緩和効果」がみられた。私たちが通常音楽を聴くCDには、2万ヘルツまでの音だけが含まれる。しかし、自然界の森やジャングルなどでは、50万~100万ヘルツという高周波の成分が存在するのだ。人間の耳には聞こえなくとも、身体で感じられるかもしれない。ハイレゾ音の作用や効果、影響の研究が進んでいくことであろう。
 ほかの話題は、オルゴール療法であった(図4)。歴史を振り返ると、音楽好きな人々の強い希望により作り出されたのがMusic Box(オルゴール)であった。わが国でも最近いろんなオルゴール館が設置され、音楽文化も広がってきているようだ。以上より、プライマリ・ケア医学を含む総合診療や、幅広い治療や施術を含む統合医療がわが国で理解され発展していく将来に期待したい。

(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/


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