中央テレビ編集 << 先月のコラムへ トップへ >> 次月のコラムへ 美術館からのエッセイ 特別展「ユーモア―おかしみの表現に潜むもの―」 徳島県立近代美術館では、特別展「ユーモア―おかしみの表現に潜むもの―」を6月30日まで開催しています。 展示室に入るとまず出迎えてくれるのが、「これはいったい何だ?」と思ってしまうかもしれない不思議なかたちをした作品たちです。来館者や知人たちと話しをしていてよく耳にするのが「アートは難しい、わからない」といった言葉です。第1章「“よくわからない”かたち」は、作品との距離を少しでも縮めてもらいたいという思いから作りました。鑑賞の手がかりとなるよう展示室内に作家の言葉を掲示しています。“よくわからないもの”として避けるのではなく、作家の言葉を借りながら歩み寄ることを試みてみてください。 元永定正〈あいんしゅたいん〉1986年 当館蔵 続く第2章「センス・オブ・ポップ」では、ポップ・アートの流れを汲む作品をご紹介します。私たちにとって身近なものがモチーフとして描かれていたり素材に使われていたりします。私たちのリアルな生活との繋がりを感じていただけたらと思います。 秋山祐徳太子、岡本信治郎、篠原有司男、横尾忠則らの作品をご紹介します。欧米におけるポップ・アートをそのまま流用しない表現には、くすりと笑える独自のエッセンスが詰まっています。 後半の第3章から会場の雰囲気ががらりと変わります。部屋を見渡すと、重くどろどろとしたものが渦巻いているような印象を受けるかもしれません。第3章「オブジェたち―菊畑茂久馬を語る」では、菊畑茂久馬が1960年代末から70年代にかけて制作したオブジェをまとめて公開します。オブジェは菊畑による手遊び的な「もの」であり、彼の個人的な体験や制作における思考の原点のようなものが詰まっています。面白い形やネーミングのものもあり、笑いを誘うことでしょう。 菊畑茂久馬〈林檎と三角錐〉1970年頃-80年頃 当館蔵 また、第4章「毒をまぶして」では、池田龍雄、中村宏、山下菊二らの作品を中心に、現代社会における複雑な問題や人間の本質の暗い側面に気づかせてくれるような作品をご紹介します。不安な時代を生きる私たちの心に響くものがきっとあるはずです。 山下菊二〈父はは〉1972年 当館蔵 石田徹也〈燃料補給のような食事〉1996年 静岡県立美術館蔵 出品作家が挿絵や文章を手がけた絵本の読み聞かせと作品鑑賞をするイベントや、パフォーミングアーティストの方をお招きしたイベントなど、いつもとはひと味違った楽しいイベントも予定しております。「アートは難しい」といった固定観念を取り払い、作品鑑賞の第一歩目を踏み出してみてください。そして、「おかしみの表現に潜む」作品の本質の部分に触れていただけたら幸いです。 (徳島県立近代美術館 学芸員 久米 千裕 ) 徳島県立近代美術館5月の催し物 ■所蔵作品展2024度Ⅰ「新収蔵作品を中心に」4月13日[土]-7月21日[日] 【関連イベント】 ・展示解説 5月12日[日] 14:00~14:45 展示室1、2(2階) ■特別展「ユーモア―おかしみの表現に潜むもの―」4月27日[土]-6月30日[日] 【関連イベント】 ・学芸員による展示解説 5月6日[月・振休] 14:00~15:00 展示室3(2階) ・おはなし美術館~絵本の読み聞かせと作品鑑賞~ 5月19日[日] 14:00~15:00 ロビー・展示室3(2階) ■文化の森 こどもの日フェスティバル 5月5日[日・祝] 9:30~16:00 *当日は所蔵作品展無料