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中央テレビ編集 


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美術館からのエッセイ
子どもたちとの作品鑑賞

 今年度は、遠足で文化の森の美術館を訪れてくれる学校が少しずつ増え、展示室に子どもたちの姿がもどりつつあります。子どもたちに美術館でのマナーのお話(保育所などの見学では、ゆっくり歩く、作品を見るときは手はうしろ、おしゃべりは小さな声で)をしてから展示室に向かいます。


美術館ロビーで美術館のマナーを確認しているところ


 春には特別展「カミのかたち」4月23日-6月19日が開催されていました。「カミのかたち」と聞くと「カミって紙のこと?」「髪の毛ってこと?」「神様のこと?」と興味津々。神様を知っているかと尋ねると、何人かの子どもは「知ってる!」、「見たことがある!」という返事が返ってきました。
 展示室では、その空間や少し暗い雰囲気を敏感に感じ取って緊張している子も見受けられますが、作品の前に座ってみんなで何が描かれているかじっくり観察してみることで少しずつ緊張がほぐれていくようです。作品のなかに見つけたものを発表してもらうと一人では気づかなかったことがたくさん見つかることも。そして、作品のなかでは何が起こっているのか子どもたちなりに思いを巡らせます。生活の中で見たり聞いたりしたことと作品が結びついたり、友達のつぶやきに触発されて一気にイメージが広がったりしてお話が生まれることもあります。子どもたちの柔軟な発想で、隣り合った、あるいは向かい合って展示されている作品がお話のなかでつながることもあります。


子どもたちが鑑賞しているのは、下村観山〈毘沙門天 弁財天〉の部分 1911年 徳島県立近代美術館蔵

 この夏は、新型コロナ感染症が拡大し見学のキャンセルもありましたが、9月下旬から11月にかけて見学予定が入り、秋の遠足シーズンに向けて来館予定の学校と打ち合わせを行っています。遠足や校外学習、美術部の活動などで見学するときは、学芸員など美術館の職員が、 学年や目的に応じた案内をしています。親しみやすく楽しいプログラムも用意しています。感染予防に細心の注意を払いながら、子どもたちに作品鑑賞の楽しさを体験してもらえるよう努力したいと思います。
 この秋は、特別展「風土と美術-青森/徳島」10月8日[土]-11月27日[日]がおすすめです。学校からの見学だけでなくご家族でも芸術の秋を美術館で楽しんでいただけたらと思います。

(徳島県立近代美術館 係長 亀井 幸子)


徳島県立近代美術館9月の催し物

■展覧会情報
○特別展「日本の戦後彫刻」 開催中-2022年9月4日[日]

○徳島のコレクション 2022年度 第2期 開催中-11月6日[日]
特設展示 「徳島ゆかりの日本画家 幸田暁冶」 開催中-9月4日[日]
特設展示「新収蔵の版画 秋岡美帆と黒崎彰」9月6日[火]~11月6日[日] 

【関連イベント】
○美術館講座「近代の京都画壇と徳島の日本画家たち」9月4日[日]14:00~15:00 
 場所:美術館講座室、対象:高校生以上、定員:15名程度、参加無料、申込不要
○こども鑑賞クラブ「算数のパワー」9月10日[土]14:00-14:45   
 小学生対象、参加無料、要申込(定員を上回った場合、15時から2回目を行います。)

■イベント
○身体で感じる・身体で味わう 音楽×美術で楽しむ鑑賞・表現ワークショップ 
 9月3日[土] 14:00〜16:30 受付終了

※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、会期や催しの内容が変更・中止となる場合があります。
※予防対策として、検温、マスクの着用、手指消毒などに御協力をお願いします。