誰もが楽しめる美術館を目標とする「ユニバーサル美術館」展を今年も開催しています。2年前の展示では「手でみる鑑賞」、昨年は手話などのコミュニケーション映像を展示に取り入れてきました。3回目となる今回は「やさしい日本語」による案内が特徴です。
出品作品のテーマは「まち」です。街の絵、道の絵、家の絵など、アーティストが見つけた色々な「居場所」をたずねて歩く展覧会。どこにもない空想の街や、地域の風土を感じる景色にも目を広げていきます。
旅のマップを思わせる看板が会場入口を飾ります。展示室内には、標識風のサインが「まちの顔いろいろ」、「部屋と家」などコーナーを表示しています。各作品ごとの紹介パネルには、吹き出しの中にごく短い文が書かれています。「朝の早い時間、まだ人はいません」、「お寺が見えます。道は見えますか?」といった具合に、作品鑑賞のきっかけにしていただけるようなコメントです。
また会場入口で、「飲食禁止」、「人と間をあけて」といった、知っていただきたいマナーを、シンプルなピクトグラム映像により目にとまるようにしています。会場内の他のモニターでは、この展覧会を通して感じていただきたいメッセージが、ピクトグラムと短い言葉で映像化されています。
このような工夫により、小さなお子さま連れの家族や、海外にルーツのある人にもわかりやすい、やさしいことばの案内となることを心がけました。
会期前半のツアーでは、コミュニケーションカードを使うなどして、離れて、密をさけながら、来場者同士の感想を伝え合う活動にも挑戦しました。8月後半には、ノンバーバルコミュニケーターの庄﨑隆志さんによるワークショップ「ハンドサインでこんにちは!」を準備しています。少しずつでも、安心して交流型の活動を楽しんでいただけるための手段を探っていけたらと考えています。
毎日の暮らしの中で安心できる場所、とっておきの風景、そんな心の居場所を見つめ直すひとときにしていただけたらと思います。旅する気分で、美術館の中の「まち」へお気に入りスポットを見つけに行きませんか。
(徳島県立近代美術館 上席学芸員 竹内 利夫)
「市原義之〈街の朝〉1971年」
会場入口
徳島県立近代美術館 8月の催し案内
〔展覧会〕
◆所蔵作品展 ユニバーサル美術館:「ハロー、お気に入りをさがそう!」 開催中―2020年9月13日(日)
◆「徳島のコレクション 2020年度第2期 開館30周年記念 未来に向けて」 開催中―2020年11月29日(日)
〔ユニバーサル美術館展 関連イベント〕
◆こども鑑賞クラブ「ようこそこんにちは」 8月1日(土)14時-14時45分 電話で申込・先着順15人
◆展覧会ツアー 8月10日(月・祝)14時-15時 先着順15人
◆ワークショップ ハンドサインでこんにちは! 8月23日(日)14時-16時 電話かFAX、メールで申込・先着順10人
催しに手話通訳や要約筆記をご希望の方は、2週間前までにご相談ください。
〔所蔵作品展 関連イベント〕
◆展示解説「日本画コレクションを振り返る」 8月2日(日)14時-14時45分
くわしくはホームページをご覧ください。
https://art.tokushima-ec.ed.jp/category/0007204.html
|
|