「フリースペース チャレンジとくしま芸術祭」が今年もやってきました。定員を上回る応募者の中から、11月10日の抽選会で展示部門42組、パフォーマンス部門18組の参加が決定し、本番は、展示部門が2020年1月15日（水）～26日（日）、パフォーマンス部門が1月19日（日）です。常連、初挑戦、数年ぶりの参加、別のジャンルへの挑戦、グループでの再挑戦など、例年通り多彩な顔触れです。特に今回は、半数近くを占める初挑戦組の活躍も楽しみです。
◆県内巡回展
さて、前回は10回目を記念して初の巡回展を行いました。美術館での発表とは違い、展示部門の会場内でパフォーマンス部門も開催し、ジャンルの垣根をこえた様々な表現を同時に味わうことが出来ました。（（2019年4月21日～27日、阿波市交流防災拠点施設アエルワ／5月12日～18日、阿南市文化会館）。一見では、数ある地域の町おこしイベントにも似ていますが、この芸術祭は、徳島発の表現を志す人々の真剣勝負の場です。「にぎわい」が目的の町おこしとは一線を画したこの考え方が地域にも根付くことを願い、今回も巡回展を開催します。
阿南市文化会館での巡回展
◆アンケートより
「まるで地域の文化祭のようだ」、「玉石混交だ」という、厳しいご意見がほぼ毎回寄せられます。たしかにジャンルも内容も、参加者の実績やスキルも多様で、まとまりがないように見えるのは事実です。
しかし前回のアンケートに、このようなコメントがありました。
「参加者それぞれの、あこがれやアイデアで気軽にチャレンジできる芸術祭はとてもユニークで面白いと思う。しかし小さくまとまりすぎのような気もする。あこがれでも素人でも参加OK、という告知がもっと必要ではないでしょうか。」
これは「チャレンジとくしま芸術祭」の特徴と課題をうまく言い当てています。表現していると、ついつい上手さにむかって小ぎれいにまとめがちですが、それを必ずしも求めないのがこの芸術祭です。先日、高松在住のあるアーティストがこう言いました。瀬戸内国際芸術祭をはじめ、高松は徳島に比べてアートイベントが盛んですが、「チャレンジのように、あこがれの思いで参加出来るものは、高松にはないなあ」。賛否両論を抱えながら、このユニークさを失わずに続けたいと思います。
◆フリースペース
阿南での巡回展で、「チャレンジ」とよく略されるこの芸術祭を「フリースペース」と呼ぶ人がいて、とてもうれしく思いました。これは実は大切な言葉なのです。
「チャレンジとくしま芸術祭」が募集するのは、「作品」ではなく、「作家」・「表現する人」です。その人にスペースを提供し、自由に表現をプロデュースするという考え方が「フリースペース」です。今回も「チャレンジとくしま芸術祭」はあなたのチャレンジを応援します。
（徳島県立近代美術館 上席学芸員 友井 伸一）
 
前回の展示部門 前回のパフォーマンス部門
「フリースペース チャレンジとくしま芸術祭」：徳島発のアーティストを発見・支援する芸術祭。絵画、彫刻、工芸などの「展示部門」と、音楽、ダンス、芸能などの「パフォーマンス部門」の二部門で参加者は公募と抽選。徳島県出身または在住ならだれでもOK。年齢経験不問。審査によりグランプリほか各賞を決定。平成22（2010）年から年1回開催。
徳島県立近代美術館 2020年1月の催し案内
［展覧会など］
○「フリースペース チャレンジとくしま芸術祭 2020」
・展示部門：2020年1月15日（水）～26日（日）※20日（月）は休館日 徳島県立近代美術館展示室3
・パフォーマンス部門：2020年1月19日（日） 徳島県立近代美術館ロビー
※その後のスケジュール
3/14(土)～15(日) 「受賞者発表会」＊パフォーマンス部門は3/15（日）のみ
徳島県立近代美術館／徳島県立二十一世紀館
4/19(土)～25(土) 巡回展 阿南市文化会館夢ホール
5/10(日)～16(土) 巡回展 阿波市交流防災拠点施設アエルワ
○「所蔵作品展 徳島のコレクション 2019年度 第3期（前半）」
［開催中］～2月2日（日） 美術館 展示室1・2、屋外展示場、美術館ロビー
特集 生きてゆくこと／20世紀の人間像／現代版画 比べて見る2：12月17日［火］－1月26日［日］、 比べて見る3：1月28日［火］－2月16日［日］／
徳島ゆかりの美術 ＊観覧料が必要です。
［イベント］
○「こども鑑賞クラブ 色々なチャレンジ」
1月25日（土） 14:00～14:45
近代美術館 展示室3 ＊「チャレンジとくしま芸術祭」展示部門会場
【講師】近代美術館スタッフ／【参加対象】小学生（保護者同伴可）／申込不要 当日14時までに近代美術館ロビーに集合。＊参加費無料
○コラボ企画 「数学×美術でひろがる作品鑑賞－作品に潜む数学を探そう！」
1月13日[月・祝] ＊1回目：13時から14時 ＊2回目：14時30分～15時30分
近代美術館 展示室1、2 【講師】鳴門教育大学大学院生（講義「数学と芸術、そして科学間との接点を探る」の受講生）／【参加対象】小学生以上／申込不要 開始時間までに近代美術館ロビーに集合。＊参加費無料
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