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中央テレビ編集 


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美術館からのエッセイ
「アートの日」
-広がる就学前施設(保育所・幼稚園・認定こども園等)と美術館の連携

◆ はじめに
 昨年度、文化庁の助成をうけて「就学前の子どもたちにアートの楽しさを届けるプロジェクト」を実施しました。美術館を軸にした「子どもたちのアートを楽しむ活動」を県内のより広い範囲の就学前施設に広げていくことを目的に、「子どもたちの美術館デビュー応援企画」や様々な勉強会やシンポジウムを行いました。今年の3月には、このプロジェクトの報告書『「アートの日」の本』も完成し、県内の就学前施設をはじめ、全国の公立 図書館や美術館にもお送りしました。鑑賞や造形に関するいろいろなプログラムをレシピ にした他、研究者の論考や先生方の実践的なレポートも多数掲載することができました。この報告書は、美術館ホームページの「アートの日」 https://art.tokushima-ec.ed.jp/artnohi/からご覧いただけます。子どもたちが美術館でどのような鑑賞活動をしてきたのか、保育所や園でどんな造形活動に取り組んだのか、ぜひ、のぞいてみてください。

     
      報告書の表紙                
  報告書の一部

◆ 今年度も「アートの日」がスタート
 保育所や認定こども園と美術館の連携事業のことを「アートの日」と呼んでいます。今年度の「アートの日」は、先生達との勉強会でスタートしました。「アートの日」の特徴のひとつである、子どもたちの生活にアート活動を自然な形で組み込んでいくために「年間の活動計画」を参加者みんなで交流しながら考えていきました。季節のあそびや、運動会や生活発表会などの行事と結びつけて、それぞれの施設で楽しい計画ができました。例えば、夏には絵具を身体全身に塗って思いっきりあそんだり、秋には硯で墨を擦ってにじみ模様をつくったり。3日間に分けて行った勉強会には、徳島市内だけでなく、鳴門市、小松島市、阿南市からのべ29施設、73人の参加がありました。今年度も、子どもたちが美術館に来てくれたり、美術館の職員が子どもたちのところへ出かけていったりしながら、楽しい活動を広げていきたいと考えています。  
 5月28日、29日には、この勉強会に参加してくれていた先生達がさっそく、5歳児クラスの子どもたちと美術館に来てくれました。少ない人数で、じっくり作品を見て、みつけたことや感じたこと等をお話ししました。みつけたことを早く言いたくても、順番を待ってお友達のお話をしっかり聞くことができていました。一人で作品見るのも楽しいですが、みんなで、いろんなことをお話ししながら作品を見ると、一人では気づかなかった見方や感じ方に出会うことができます。あっという間に1時間がたってしまいました。  
 子どもたちは、「また、来るからね」とにこにこしながら帰って行きました。

  

◆ 美術館に子どもたちがいたら
 子どもたちは、美術館でのマナー(走らないようにゆっくり歩いて、作品に触らないよう手は後ろにして、静かにみたい人の迷惑にならないようにありさんぐらいの小さな声でお話しする)を少しずつ身に付けながら、作品鑑賞をしています。  
 当館にお越しの際に、もし小さな子どもたちが作品の前に座っていろいろなお話をしていたら、どうか温かく見守ってください。
                                              (徳島県立近代美術館 係長 亀井幸子

徳島県立近代美術館 6月の催し物
[展覧会]

◆所蔵作品展 受贈記念 郭徳俊の版画  開催中―6月16日(日)
◆所蔵作品展 徳島のコレクション 2019年度第1期-特集 新収蔵作品を中心に-
開催中―7月7日(日)

〔所蔵作品展 関連イベント〕

◆展示解説 新収蔵のコレクション 6月16日[日]14時から14時45分まで
◆こども鑑賞クラブ 郭(クウァク)さんの世界 6月8日[土]14時から14時45分まで