中央テレビ編集
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◆無料WIFIでネットが使い放題??
最近、見かけるYouTube広告で、無料で無制限でネットが使い放題?!と呼びかける広告が気になっておりました。そんなものは無いだろうとは思いながらも、試しに、この広告に乗ってみたい衝動に駆られました。そんなに高価ではないし、当然、クレジットカードなどは使えませんが、代引きという手法で、冷やかし半分に注文しました。実際に、こんな機器が送られてきました。

開封し、稼働させたところ、案の定、単なるWi-Fiルーターというところです。様々な手法を試してみましたが、ネットが使い放題などではありません。SIMカードを挿入してネット接続するという機能以外には付いておりません。文句も言いたいところですし、返品なども考慮しましたが、YouTubeでもあれだけの広告を長期間流しているところを見ると、それなりの準備もしている業者でしょう。勝てない勝負は無駄かも知れません。よって前例はないのか?とYouTube内で検索してみたところ、こんな番組に出会いました。まさに同じ機種でした。この記事でも同じ現象が起きています。動画の主は3台を購入したそうです。返品・返金の交渉も行ったようです。その結果は。。一度、YouTubeで検索してみて下さい。「無料Wi-Fi、期限なし」などのキーワードで呼び出せる筈です。
この手の広告は、今でも流れています。苦情は出ないのでしょうか?確かなことは、ネット空間は、既存の新聞などのメディアとは異なります。自由な空間ではありますが、怖い世界でもあるのです。肝に銘じたいと思っております。


◆ネット空間と中国問題、習近平に何かあったのでしょうか?
件の端末には、英語と中国語のマニュアルが付属していました。中国は隣国ではありますが、得体の知れない不気味さを感じてしまう国なのです。更に気になるのは、最近まで習近平主席が病に倒れたとか、中国人民解放軍という反政府組織が政権打倒を標榜して中国国内で活動を始めた・・・等々の話題が流れ始めたということです。本当のことなのでしょうか? おそらくはデマ情報なのでしょう。少々、調べてみました。
中国の習近平主席に関する最近のデマ情報について、複数のメディアやプラットフォームで拡散された内容を客観的に整理すると、以下のような状況が確認されています。
まず、デマの中心には、習近平氏の健康状態や中国国内での政治的立場に関するものが多く見られます。主な噂は、「習近平主席が健康を損ない、政界から退こうとしている」というものであり、これにより中国国内での権力闘争が起きる可能性があるという推測が立てられています。このような情報は、多くの場合、信頼性の低い「内部情報」や匿名の情報源に基づいており、具体的な根拠が示されることはほとんどありません。しかしながら、ソーシャルメディアの特性上、こうした情報は瞬時に拡散され、大規模な噂となるケースが多くあります。
・ソーシャルメディアとデマ情報の拡散
デマが特に急速に広まったプラットフォームとして、TwitterやWeiboなどのソーシャルメディアが挙げられます。これらのプラットフォームでは、短いテキストメッセージや映像などがユーザー間で共有され、数時間のうちに何万人、あるいは何百万人にも達する勢いで拡散されることが少なくありません。特に、政治的な発言力や影響力を持つインフルエンサーやブロガーがこうした情報を広げることで、信憑性があるかのように感じられ、さらに多くの人々が信じるようになります。 Weiboのような中国国内のSNSでは、中国政府が厳しく情報統制を行っているため、正式なメディアからの情報が少なくなることがあります。この情報空白を埋めるかのように、海外メディアやソーシャルメディアでの情報が拡散されやすくなり、その結果として根拠のない噂や誇張されたニュースが信じられやすい状況が生まれています。
・国際メディアと誤情報の広がり
一部の国際的なニュースメディアも、このデマ情報の拡散に一役買っていると指摘されています。特に、中国国内の政治情勢に対する透明性の欠如や、リーダーに関する情報が少ないことから、推測や憶測が報道されることがあります。これにより、センセーショナルな内容が強調され、結果的に誤った情報が広く受け入れられてしまうことがあるようです。
・健康状態に関する噂
習近平氏の健康状態についてのデマは、特に注目を集めています。習近平氏は心臓に問題があり、治療のために表舞台から退いているという噂が立っているようです。この情報は特に中国国内の一部で強く信じられ、多くの人々が彼の政権が揺らいでいるのではないでしょうか?しかし、このような情報には具体的な証拠がなく、また中国政府も公式にこれを否定しています。 また、このような背景には、中国の厳しい情報管理体制が影響しているのでしょう。政府が公式に健康に関する情報を明らかにしないため、人々はソーシャルメディアや非公式な報道に頼るしかなくなり、結果として誤情報が蔓延することになるのでしょう。
・政治的デマとその背景
さらに、習近平氏の政治的立場や権力基盤に関するデマも拡散されています。これには、彼が党内での支持を失い、国内でクーデターの可能性があるという内容が含まれます。中国国内での経済的問題や外交上の緊張、特に米中関係の悪化が影響していると考えられます。習近平氏が指導する中国共産党内での派閥闘争や、権力の継承に関する噂も頻繁に取り上げられています。特に次期リーダーが誰になるのかという議論が活発化しており、これがさらなる憶測を生む要因となっています。
・デマ情報の背後にある意図
国際的な政治的緊張が高まる中で、中国の安定を揺るがそうとする勢力が存在する可能性もあります。デマは、国内外の対立を深めるための手段として利用されることがあり、特に中国のような大国に対する情報操作は、国際的な影響力を持つことがあります。 このような状況では、情報戦が行われている可能性も否定できません。デマが意図的に広められ、混乱を引き起こすことで、国際社会における中国のイメージを悪化させたり、内部での不安定要因を煽ったりする戦略が存在するかもしれないとの見方もできます。。
・情報の信憑性を確認するための対策
こうしたデマ情報に対抗するためには、情報を受け取る側が慎重になる必要があります。まず、信頼できる情報源を確認することが重要です。公式な発表や複数の信頼性の高いメディアが報道している情報を基に判断することが求められています。 さらに、ソーシャルメディアで拡散される情報は、しばしば事実と異なる場合が多いことを認識し、冷静に受け止める必要があります。特にセンセーショナルな内容や匿名の情報源からのニュースは、真偽を確かめることが難しいため、鵜呑みにしない姿勢が重要です。
最も重要なのはメディアリテラシーの向上でしょう。かつて、ネット空間を公衆トイレという表現をされる方もおられました。件の端末問題に限らず、流布された情報に惑わされることなく、正確な理解を持つことができます。肝に銘じます。
◆やはり、下部構造である経済の問題から観察を続けるべきなのでしょうか?
私たち日本社会では、社会の節目の変革時では、多くの企業破綻を経験しました。戦前では鈴木商店と台湾銀行問題が有名です。ごく近年では、日本航空、ダイエー、そごう、山一証券他の金融機関などです。 中国ではいかがなものでしょうか?調べてみました。 2024年に明らかとなった中国企業の破綻事例として、最も注目を集めたのは中植企業集団の破産申請です。 中国のシャドーバンキング大手である中植企業集団は、2024年1月5日に北京市第一中級人民法院に破産申請を行い、受理されました[。この破産は以下の特徴を持っています:
1. 規模: 債務超過額が2,200億~2,600億元(約4兆6千億~5兆4千億円)に達する大規模な破綻でした。
2. 背景;
- 2023年8月に傘下の信託会社である中融で高利回りの信託商品のデフォルトが発生したことが発端となりました。
- 中国の不動産市場の低迷が主な要因の一つとされています。
3.事業内容: 中植は裕福な個人投資家と企業の資金を集め、一般銀行から融資を受けにくい中小企業や不動産開発会社に融資するシャドーバンキングの役割を果たしていました。
4.影響: 債権者の大半が金融機関ではなく高額資産家であるため、銀行システムを揺るがす事態には発展しないと予想されています。 この破綻は、中国の金融システムの脆弱性と、特に不動産セクターの問題が深刻化していることを示しています。中国政府による企業債務のコントロールが進められている中で、このような大規模な破綻が発生したことは、中国経済の構造的な課題を浮き彫りにしたと言えるでしょう。
中植企業集団は、日本のマスコミでと取り上げられていました。更に先月、東嶺集団という中国の大手民間企業の破綻という情報も入ってきました。以下、Xの投稿です。

その内容は、
- 所在地: 中国陝西省宝鶏市
- 事業内容: 鉄鋼事業が主力
経営状況
東嶺集団は近年、深刻な経営難に直面していました。2024年8月に入り、同社は破産・再編手続きを開始されました。 気になるのは、かなりの規模の企業のようですが、日本経済新聞には報道されていませんでした。
更にHywin Wealth Management Co.という企業の情報も入ってきました。その内容は;
正式に破綻したわけではありませんが、2024年9月に重大な問題に直面しています:
1. 刑事捜査の開始:
- 2024年9月11日、中国当局がHywin Wealth Management Co.に対して刑事捜査を開始しました。
- 違法な資金調達への関与の疑いが理由とされています。
2. 当局の対応:
- 上海警察が複数の容疑者に対して「強制措置」を講じました。
- 少なくとも3人のHywin従業員が対象となっています。
3. 背景:
- Hywinは破産した中国恒大集団と関係のある資産運用会社です。
- この捜査は、Hywinが一部の投資商品の支払いを遅延させた約9ヶ月後に行われました。
4. 影響:
- 多くの投資家がHywinの不動産プロジェクトへの投資の安全性について懸念を抱いています。
5. 事業撤退:
- 2024年6月28日、Hywin Holdingsは中国本土の富裕層向け事業から撤退し、テクノロジー分野に転換すると発表しました。
これらの事態は、Hywin Wealthが深刻な経営危機に陥っていることを示しています。正式な破綻宣言はまだありませんが、刑事捜査や事業撤退など、企業の存続に関わる重大な問題に直面しています。
これらの情報は、日本経済新聞を始め、所謂、大手メディアは取り上げていません。日本への影響が少ないと考えられるのか、或いは、充分な情報がないのが原因なのかは分かりません。
いずれにしろ、情報を広く求めるのか?正確性を尊重するのか?の問題です。無料Wi-Fi端末での教訓も踏まえて、今後とも大胆に、慎重に執筆活動を続けていくつもりです。宜しくお願いします。