美術と日本赤十字社というと、意外な組み合わせだと感じる方も少なくないと思います。しかし、思いがけずなじみ深いものです。
まず、日本赤十字社には、数多くの美術品があります。いずれも名だたる美術家の作品で、各時代の美術家や個人コレクターが日本赤十字社に寄贈してきたものです。前身の博愛社時代から、日本赤十字社が行ってきた献身的な活動が、いかに人々の尊敬や信頼を集めてきたかが分かります。
次に、全国の美術館や博物館のコレクションを見渡すと、日本赤十字社の活動を描いた美術品が少なくありません。戦争や大きな自然災害など、社会を揺るがすような出来事が起こると、美術家たちは戦場や災害の現場に取材した作品を作っています。その中には日本赤十字社の救護活動が描かれたものがあります。
展覧会の第1章では、日本赤十字社の所蔵品から選りすぐりの約40点をご覧いただきます。日本赤十字社に対する人々の熱い思いがこもったコレクションです。第2章では、全国の美術館や博物館から作品と関連資料をお借りして、美術を手がかりに日本赤十字社の歩みをたどります。作品の魅力を味わっていただくのはもちろんですが、美術を通じて日本赤十字社の歴史や社会的な役割、日本赤十字社に対する人々の思いなどにも心を寄せていただけたらと思います。
(徳島県立近代美術館副館長兼学芸調査課長 江川 佳秀 )
  
画狂人<博愛ナル大日本赤十字衛生隊 日露戦闘中負傷者救護之図>1904(明治37)年錦絵(3枚組)
松山市坂の上の雲ミュージアム

徳永仁臣<赤十字の活動>1923年 油彩、キャンバス 東京都立横網町公園復興記念館

東郷青児<ナース像>1974 年油彩、キャンバス
日本赤十字社 ©あしなが育英会
徳島県立近代美術館 5月の催し
■日本赤十字社徳島県支部創立130周年記念展 今に生きる「人道博愛の心」 美術に見る日本赤十字社の歩み(6月11日[日]まで)
・展示解説 14日[日] 14:00~15:00
・こども鑑賞クラブ 27日[土] 14:00~14:45
■徳島のコレクション 2017年度第1期
特集 新収蔵作品を中心に(7月17日[月・祝]まで)
・レクチャー ユン・ソクナム-韓国社会を見つめて 5月28日[日]14:00~15:00
講師:吉原 美惠子(上席学芸員) 会場:美術館講座室(3階)
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