園芸基礎用語


園芸には専門用語がたくさんあります。なるべくわかりやすい表現を心がけても、
どうしても避けられない用語があります。ここでは栽培にかかわる基礎的な用語を
取り上げて、初心者にもわかりやすく解説しています。


用 土 編
用 土 ある目的のために用いられる土のこと。コンテナ栽培では、植えつけに用いる培養土のこと。栽培用土には、関東地方
に広く分布する火山灰土の「黒土」、栃木県鹿沼地方に産出する「鹿沼土」、関東地方に産する火山灰土の赤土を乾燥
させて大粒、中粒、小粒にふるい分けた「赤玉土」、宮崎県に産する「日向土」、関東地方以西に産する「真砂土」、広葉
樹の葉を腐熟させた「腐葉土」、蛭石を高温で焼成した「バーミキュライト」、水ゴケやアシが堆積して泥炭化した「ピート
モス」などがあります。ふつうこれらの用土は単体で用いることは少なく、数種類を配合して使います。
ゴロ土 鉢植えの時に、水はけと通気性をよくするために鉢底に入れる、粒の大きな土。赤玉土の大粒などが用いられますが、
土のほかに石や発泡スチロールの破片などが使われる場合もあります。小さな鉢などの場合は、ゴロ土を使わない
こともあります。
団粒構造 植物が順調に生育するためには、水はけと水もちがよく、通気性に富み、肥料が保たれる土が必要です。土の粒子が
いくつか集まって大きな粒をつくり、その粒と粒の間にある程度のすき間がある状態をいいます。
培養土 植物を育てるときに使う土のこと。鹿沼土など自然の土を単体で使う場合もありますが、多くは赤玉土や腐葉土など
色々な土質の用土を混ぜて使います。水ゴケもその一つです。
覆 土 タネをまいたり、球根を植えつけたとき、その上にかぶせる土のこと。覆土が厚すぎると、多湿になったり通気不良に
なり、発芽の妨げになります。ただし、光を受けないと発芽しない性質の「好光性種子」には覆土しません。
みじん 1mmかそれ以下の目のふるいを通り抜ける、ごく細かい土のこと。花木の鉢植えなどではこれを取り除かないと、排水
不良を起こしやすくなります。


水 や り 編
腰 水 水やり方法の一つ。植えつけた鉢などを、水を張った浅鉢やバケツなどの中に常時ないしは長期間にわたって置き、
鉢底から吸わせる方法です。腰水の深さは、目的と時と場合でいろいろです。
自動灌水 自動的に水やりする方法のことです。
底面給水鉢 鉢の底に貯水タンクを設けたもので、鉢の底に取りつけた給水ひもを通じて、タンクから鉢土へと水が吸い上げられる
仕組みになっている鉢のこと。シクラメンなどの鉢花に使われています。
葉 水 葉にかける水のこと。普通は霧吹きを用いますが、ジョウロで植物の頭から水をやる場合も「葉水」といいます。葉の
まわりの空中湿度を高める効果があります。ハダニを防ぐのにも有効です。
水切れ 水が「不足している」か「ない」状態のこと。
水 代 鉢植えにしたとき、鉢の上部に水のたまるスペースをあけて植えつけます。このスペースを水代、あるいは「ウォーター
スペース」といいます。


肥 料 編
肥料の三要素 植物が生育するのに必要な栄養素のうち、最も多量に必要とする成分であるチッ素、リン酸、カリをいいます。
肥料の五要素 チッ素、リン酸、カリに次いで多く必要とするのがマグネシウムとカルシウムで、この2つを合わせて肥料の
五要素と言います。
肥料の微量要素 肥料成分のうち、微量でよいけれど不可欠なものとして、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデンなどが
あります。これらを微量要素と言います。
肥料あたり 「肥料負け」「肥料障害」ともいいます。濃い肥料を施した場合に起こりやすく、障害が軽ければ、葉の先や縁が
枯れる程度ですが、ひどいときには株ごと枯れてしまいます。
保肥力 土がもっている、肥料成分(養分)を保持する能力のことです。土が有機質を多く含み団粒構造になっていると、
保肥力が強くなります。「肥料もちがよい」ともいいます。


栽 培 編
移 植 植え替えることですが、ふつう、苗床から鉢へ、育苗ポットから花壇へなど、植える場所を変える場合にいう言葉です。
F1品種 F1とは、遺伝子の異なる両親の間に出来た雑種一代目のことです。この品種からタネをとってまいても、同じものは
生えてきません。
園芸植物 人が栽培する植物のうち、園芸に利用されるもので、観葉植物、果樹、野菜をいいます。大多数が品種改良された
ものです。
活 着 移植したあと、枯れずに成長を続けること。つぎ木やさし木が成功した場合も「活着した」といいます。
株分け 大きくなった株を分割してふやす方法。多くのものは春か秋に行われます。
切り戻し 伸びた枝や茎を、その中間まで切り詰める作業のこと。切り戻しをすることで、下から元気な枝が伸び出てくるので、
伸びすぎて姿をくずした株などの仕立て直しができます。
コンテナ 大小には関係なく、鉢やプランターなどの栽培容器一般の総称です。
コンテナ
ガーデン
コンテナの中に庭をつくること。すなわち複数の植物の寄せ植え。または、コンテナで装飾された空間のことです。
さし木 切り取った枝や茎、根などをさし床にさし、新しく根や芽を出させる繁殖方法の一つで、家庭園芸で広く行われています。
酸性土・
アルカリ性土
土が酸性であるか、アルカリ性であるかということ。植物の種類によって、ある程度の酸性土がよいか、アルカリ性を
帯びているほうがよいか、異なります。多雨地域は土が酸性化しやすく、同時に植物が育ちやすいので、植物の多くは
やや酸性であるほうがよく育ちます。
直まき タネを花壇などに直接まく方法です。移植を嫌う植物に用いられます。
弱剪定・
強剪定
枝を少しだけ、短く刈り取ることを弱剪定、あるいは軽い剪定といいます。枝を長く切り取ることを強剪定、または強い
剪定といいます。剪定の強弱によって、その後の枝の出方が左右されます。
遮 光 植物に当たる光を遮ることをいいます。光や太陽熱を少なくすることで、強光や高温の害を防ぐ(観葉植物や一部の
洋ランなど)一方、一定の時間に限ってほとんど光を当てないようにして開花を早めたり、色づいたほうが出るのを促す
(秋ギクやポインセチアなど)場合に行います。
台 木 つぎ木する土台になる、根のある部分です。穂木に水や養分を補給する以外にいろいろな作用があります。
つぎ木 ふやしたい植物体(つぎ穂という)を、ほかの植物体(台木という)につぎ合わせて、独立した個体をつくる繁殖方法の
一つです。つぎ方によって「切りつぎ」、「芽つぎ」などがあります。
土寄せ 植えつけてある植物の株元に、土を寄せて盛ること。雨などで土が流されて根が浅くなったときや、新根が地表近くから
出る植物(テッポウユリやグラジオラスなど)に出てきた新芽の根をよく張らせたいときに行います。
定 植 最終目的の場所に植えること。
摘 芯 枝や茎の先端部、つまり芯を摘むこと。枝分れをさせたり、徒長を止めたり、大きくなるのを抑えたいときに行います。
ピンチともいいます。
天地返し 植物の生育をよくし、連作障害や病害虫の防除を目的に、主に冬期に行う土づくりの方法です。花壇や畑の表土を掘り
上げてから、さらにその下の土(心土)を別の場所に掘り上げます。最初に掘り上げた表土を掘った穴底に戻し、その上
に心土を埋め戻します。
とり木 根をもっている植物体の一部(通常は幹や枝)から根を出させるふやし方です。幹や枝に傷をつけたり、針金で縛って
根を出させる方法などがあります。根が十分発達したら親木から切り取って植えつけます。発根に失敗しても枯らして
しまうおそれが少なく、成功すると大きな苗が得られます。
二重鉢 植物が植わっている鉢を、鉢のままそれより大きな鉢に入れ、その間に詰め物をすること。鉢土の温度を高すぎたり
低すぎたりしないように保ちたい場合や、鉢土を乾きにくくする場合に行います。詰め物の種類や扱い方は、その場合に
よって異なります。
根 鉢 植物を鉢から抜いたり、庭から掘り上げたときに出てくる、根と土がひと塊になった部分をいいます。
鉢の号数 1号あたり3cmを単位として、植木鉢の直径を表します。例えば、3号鉢とは直径が3cm×3=9cm、5号鉢とは直径
3cm×5=15cmの鉢ということになります。号数は直径だけを示し、深さは示しません。
半日陰 直射日光を受けるのではなく、また、日光をまったく受けないのでもない、日が当たりながらも多少日陰になる状態を
いいます。木もれ日や寒冷紗を通した日光がそれにあたります。かなりあいまいな光の強さの表現ですが、実用上は
それで十分なことが多いものです。
肥 培 「手入れをして育てる」という意味です。必ずしも肥料をどっさりやって育てることではありません。
pH 酸性、アルカリ性の度合いを示す単位。pH7が中性で、それより数値が小さくなるほど酸性が強く、大きくなるほどアル
カリ性が強くなります。植物がどの程度のpHで最もよく育つかは、種類によって異なりますが、多くの植物はpH5〜7の
やや酸性から中性が好適です。
穂 木 つぎ木でふやすために、台木につがれる部分。ふやしたい植物の枝で、つぎ木用に調整したもの。さし木の場合も穂木
という言葉を使いますが、区別するために「さし穂」といわれることもあります。
ポット苗 鉢植えの苗のこと。
間引き 込み合っている株や茎、枝を切り取って間隔を広げること。「間引く」ことで日当たりや風通しをよくして健全に育てます。
マルチング 土の乾燥を抑えたり、地温の調整や雑草を生えにくくするために、土の表面にわらやバーク(樹皮)、ピートモスなどを
厚めに敷き詰めること。畑では黒色のビニールフィルムを使用します。
実 生 タネをまくこと。その結果得られる苗が「実生苗」です。実生苗や実生株を単に「実生」と呼ぶこともあります。

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