鉤虫(こうちゅう)症(十二指腸虫症)

 鉤虫は比較的多く見られる消化管寄生虫です。成虫は小腸に寄生し、卵は便に排出され
ます。そのため、顕微鏡での便検査によって診断されます。
 便とともに排出された虫卵は、孵化すると幼虫となり、動物の皮膚から侵入します。
また、この幼虫が食物や飲み水に混じって体内に入ることもあります。あるいは、胎盤を
通じて胎児に感染しますし、母乳から感染することもあります。
 感染すると鉤虫は動物の血液を吸血してひどい貧血を起こします。幼い動物や弱っていると
き、栄養状態が悪いときでは、鉤虫は突然の衰弱や死を引き起こします。鉤虫が寄生すると
体重が減少したり、下痢、タール様便、血便、毛づやがなくなる、元気がないなどの症状が
現れます。鉤虫の寄生が確認されたら駆虫剤の投与が必要です。駆虫後も便検査を行い、
駆虫の確認をしましょう。また、いつも動物がいる場所の清掃も必要です。鉤虫の幼虫は
人間の皮膚に侵入して皮膚炎を起こすことがまれにあります。これを防ぐために、素手で便や
土に触れないように気をつけましょう。