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其の五十八
― 気持ちを緩める ―
企画書提出日の前夜。皆が帰社した仕事場に、私が叩くキーボードの音だけが響く。
ずっと温めてきた企画だから、何としても通したい。そう思えば思うほど、力が入る。本当にこの方向性でいいのか?説得力は?共感性は?具体性はあるのか?そんな思いが頭を巡り、手が止まってしまった。暫し、休憩か……。
ネクタイを緩め、熱い珈琲を飲んでいると、子供の頃、祖父に言われた言葉が頭をよぎる。
「完璧ばかり目指しとったらあかんぜ。まずは、『作りたい』という気持ちが大事じゃ」
プラモデル作りをする孫(私)にアドバイスしたそんな言葉を、企画書作りの心持ちにされるとは、天国の祖父も思ってなかったろうな。でも、思い出したよ、作りたいという気持ち。ありがとう。

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