其の四十六

―  緑、恋し ―


 梅、桜、牡丹、チューリップ。今年はたくさん花を観た。鮮やかで
色とりどりの春の花々は、心を浮き立たせてくれた。
 でも……、今日はなんだか違うんだな。「シャクナゲの花を観にいこう」という友人からの誘いを断り、新緑眩しい木々を車窓に眺めながら車を
走らせる。今日は、ただこうして「緑」に浸りたかった。
 はー……「心地よい」とはこの瞬間のことか。窓を開け深呼吸。
目も心も緊張から解き放たれていくのが分かる。
 
 小一時間ドライブして、柔らかな緑広がる野原を見つけた。タンポポの黄色もスミレの紫もない、ただ緑だけの野原。
 何をしようか? 考えるまでもない。ゴロンと横になればいい。
「緑」が恋しくて、会いにきたのだから。
 その後は、四葉のクローバーを探してみよう。