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其の四十四
― 週末料理長 ―
先週末、風邪を引いた妻に代わって台所に立った。学生時代によく作っていた「皮付き野菜入りカレーライス」は、家族に大評判だった。
料理か……、うん、そうだ、料理こそ自立した男のたしなみ。
「来週末もまた」と宣言してしまった。
日曜の昼、二日前インターネットで注文して届けられた『そば打ちセット』を机に準備する。まずは、そば粉に小麦粉を混ぜ、水を「の」の字を書くようにまんべんなく……、「おーい!そこのボール取ってくれ。それから卵も、えっ、無いって?卵くらい無いのか。いや、いい、いいよ。じゃあ、水を多めに……、あっ、入れすぎ?おい、ちょっと見てくれよ、ダメか、じゃあ、そば粉足してくれ、うわ、もうベチャベチャだよ。卵さえあればな……、
いや文句じゃないよ、怒るなよ。えっ、俺は怒ってないよ〜」
男の料理は、繊細かつ大胆。お湯を注ぐときも気を許さない。ラインより少なめが「俺流」。家族全員で私が作った(湯を注いだ)インスタントそばを囲む。まさかのために妻が買っていたそうだ。
「そばは、難しいから
来週はうどんだな」と私が呟くと、
家族のそばを啜る音が大きくなった。

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