其の三十八

― 秋のはじまり ―


  昼寝から目覚めると、夕方早い時間帯なのにもう薄暗かった。
日が落ちるのが早くなった。

 喫茶店で、「ホット」を注文した。

 うろこ雲ができた高い空を、いつまでも見上げていたくなった。

 朝、窓を開けるとひんやりした。

 散歩をしていると、どこかから秋刀魚の焼ける匂いがしてきた。

 近くの小学校から、運動会の練習の音楽が聞こえてきた。

 目で、耳で、匂いで、皮膚で、次の季節のはじまりを知る。
 「今夜はおでんかな…」
ちょっと早いが、少し先の季節も引き寄せたくなった。