「川歌」というコミックを紹介されたのは十数年前。「土佐の一本釣り」が代表作の高知の漫画家の作品である。絵を見て、すぐに引き込まれた。
「川歌」の舞台は、高知県東南部の山里の舞川が舞台。新任教師が赴任してきたのは全高生徒12名の山村の学校。シバテン(河童)が出没し、やがて仲良しとなる(以後は、マンガを見てのお楽しみ)。
青柳さんはいつだったか、吉野川の河原に遊びに来たことがあった。ところが、2001年、56歳の若さで亡くなった(新聞で小さく訃報を見たときに驚いた)。
自然と人の濃厚な関わりは、四国の風土を経験した人でないと書けない。豪快ななかに、しみじみとした落としどころがあって、思わずほろりとさせられる。いい作品を残された。
土佐久礼は、代表作「土佐の一本釣り」の舞台となったまち(なぜか絵になるのは高知のひなびたまちだ。風光明媚なだけではないなにかがあるのだろう)。純平と八千代が育ったまちなみを歩いてみた。
港の近くには、青柳祐介の全身像があった。遠く近く、海と空を見ているような。
久礼大正市場は、小さな路地。
漁に出た父親を思う子どもを乗せて幾たびか揺れただろう。
青柳さんが通い詰めた久礼のまち、純平と八千代はいまも市場を見守っている。
(平井吉信、中小企業診断士、office空と海代表 )
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