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中央テレビ編集 


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Dr.板東のメディカルリサーチ No.164
<抗加齢 医学で 脳が若返り>

 人は誰もがいつまでも若くありたいと願う。不老不死の薬はあるだろうか。薬(クスリ)は逆から読むとリスク(危険)であり、適切に使うのは難しい。薬の漢字については、艹(植物)+楽(つぶ状)=薬(植物由来のつぶ状にしたくすり)という意味合いだ。実際には、薬に頼るのではなく、各自が適切な生活習慣を続けることが大切となってくる。
 生活習慣病という呼称を提唱したのは聖路加国際病院の日野原重明先生であった。先生自身が、糖質制限や適切な運動を継続され、105歳までお元気に活躍されたのは巣晴らしい。先生が啓発されてきた健康のコツや日々の哲学(日野原イズム)、「新老人の会」(New Elderly Association)の活動などが、広く知られてほしい。そうすると、誰もが健康感に溢れ充実した生活や人生に続いていくであろう。

日々刺激 継続アンチ エイジング
 このたび、日本抗加齢医学会第19回学術総会が、横浜で開催された。会場は国際会議場のパシフィコ横浜である。内外からアンチエイジングの専門家が参集し、数多くの講演会や発表が行われた。私は、糖質制限の臨床研究について、成果を報告することに。
 興味深かったのは、近年注目されている認知症である。高齢社会のわが国で、政治や経済、医学、医療、社会などの見地からも、早期の対策が喫緊の課題となってきた。従来、精神・神経・心理面に対する日々の刺激が大切とされる。特に、脳を広範囲に刺激することがポイント。たとえば、テレビを見るなど受容的なものよりも、何かの課題を自身が考えてまとめ、書き、話すという能動的な行動が効果的である。


金よりも 筋の貯蓄で 日々元気
 さらに、運動の能力が健康の維持増進に必須であることが判明してきた。高齢になると次第に足腰が弱ってきて、ロコモティブ(運動器)症候群やフレイル(虚弱)などの状況になってきてしまう。すると、円滑な移動が難しくなったり、転倒して骨折や寝たきりになったりすることに。
 いろいろな疾病では、何らかの原因物質の蓄積が関わっている。そのとき、運動機能の貯蓄が少ない人は早期に病気に陥ってしまう。一方、足腰を鍛え、筋肉や筋力が多い人は、病気になりにくい。つまり、お金よりも筋肉を常々から貯蓄していることが、健康の維持や意義深い人生につながっていく。参考になれば幸いである。


(板東浩、医学博士、ピアニスト、https://www.pianomed.org/

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